第36話 一つ目のテスト
「テスト開始」
早乙女先生はしっかりした声で発した。すると、問題が送られてきた。
翔を含めたクラスメイトたちは送られてきた問題を受け取った。
翔は、相変わらず難しいと心の中で呟いた。
内容は、ゼノに対抗できるワクチンの成分の計算問題であった。
今回は、タイムマシンを使って過去へ行った際に、AIが自動でワクチンを生成することができなかった場合を想定しているため、自らAIにデータを与えることができなければいけない。しかも、乳幼児や小学生、中学生、高校生、成人、高齢者に合わせてワクチンの分量が変わるため、それも計算しないとならない。
翔たちは、AIを使って計算式や必要や成分を当てはめていたため、ワクチンの生成は簡単であったが、今回は極めて難しい問題であった。
翔は、今まで学んできたことと仲間たちと勉強したことを思い出し、画面に表示されているボードに手書きで計算した。また、これから救う人々のことを考えて、慎重に計算することを意識した。それと、真宙から、薬の分量を間違えると投与された身体に影響が出てしまうので気をつけなくてはいけないと真剣な表情をして言っていたことを思い出した。
様々な想いをのせて、時間はかかったが計算することができた。それからは、キーボードを使い、それぞれの対象年齢に合わせた分量でデータを出力し、プログラムを組んだ。
「そこまで」
早乙女先生が言葉を発すると、AIが音声を認識し、画面入力ができないように制限がかかった。
翔は、ちょうどプログラムを組み終えたところであったので、浅かった呼吸から深呼吸をして呼吸を整えた。
「次は身体テストだ。着替えを済まして三〇分後に、体育館に集まるように」
早乙女先生は、スタスタと足早に教室を後にした。
Regain 翔ゆら @lily_kid
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