人類最強格の1人であるS級冒険者、シド。
『銀龍』という名でも呼ばれる彼は、圧倒的な戦闘力で目の前の敵を圧倒していきます。
しかし、強さがあっても、全ては救えない世界。
彼も決して万能の主人公ではありません。
むしろ彼の内面は、年相応の十代の若者。
強すぎる戦闘力を持っているがゆえに、心とのバランスがどこかちぐはぐに感じられるほどです。
つい背負い込みがち、無茶しがちな危なっかしさ。
過去を悔やんだり、故郷に負い目を感じたり、助けきれない命を目の当たりにして無力感に苦しんだり……
自らの強さに責任を持っている誠実な彼だからこそ、時に迷い、葛藤するのでしょう。
そんなシドの周りには、仲間が集まります。彼の強さだけを必要としているのではない、弱さごと受け入れて支えてくれる仲間たちです。
もう一人の主人公格とも言える存在が、異世界からの転生者ユート。
チート無双を期待して転生してきた彼も、否応なく厳しい現実と向き合うことになり、やがて目覚ましい成長を遂げ、シドを支え共に戦う存在へと変わっていきます。
万能感も、チートもない無慈悲な世界。その中でもがきながら自分なりの答えを見つけていくキャラクターたちのドラマ、時には涙腺が刺激されることもあります。強くて、弱くて、人間臭い彼らの物語、心に残る一作として、オススメです!
主人公シドは辺境の地で暮らす最強クラスの冒険者。
騒がしくも平和な日々は奇妙な少年ユートによって終わりを告げる。
ユートは力こそ持っているものの、度を越えた世間知らず。
そのせいで起こった事件にユートは奔走する羽目に——
といったように、一見すると現地最強格によるアンチ異世界転生モノなんですが、そんなエンタメで終わらないのが本作のスゴイところです。
あらすじで語られているシドの凄惨な過去。
美人でいじらしいヒロインたちの周りで起こる事件。
その事件の裏側でうごめく悪意。
他にもシドに襲いかかる試練が物語を熱くさせます。
また登場人物のセリフ1つ1つにも厚みがあり、その登場人物の人生を感じるのが本作の魅力のひとつでしょう。
どんなに屈辱にまみれても、決して屈しなかった。
そんな最強で仲間思いな主人公の英雄譚が気になる方はぜひどうぞ!ホントに面白いですよ!
《第一章まで読了いたしました》
『生きることは戦い続けること』。
事あるごとに主人公・シドが口にするこの言葉に、最初はとても硬い物語なのかと想像しました。
ですが実際には、魅力的なキャラによる楽しい会話劇が光るテンポのいいストーリー!
特に異世界からやってきたユートとシドの会話シーンが面白くて、何度も笑わせていただきました。
まさかハイファンタジー要素の強い作品に
異世界転生を掛け合わせるとは……。
流行りを取り入れつつも、独自の世界観をしっかりと構築されている点は見事だと思います。
そして、シドが既に最強枠として君臨しているために全く輝かない異世界人が、第一章のラストで覚悟を決めたシーンは胸熱でした!
熱いバトルシーンに、胸を打つ名言の数々。
ファンタジー好きにはたまらない一作です!
感じたのは、作品全体に漂う空気の濃さでした。
重たい場面も笑える場面も、しっかり呼吸をしているようで、読みすすめるたびに温度や匂いが変わっていく感覚がありました。
ただ楽しいとかただ熱いとか、どちらか一方に寄らないんですよね。
静けさの中に次の嵐を予感させる緊張感があったり、緊迫した場面のあとにふっと肩の力を抜かせてくれる場面があったり。
読んでいるこちらの気持ちが常に揺さぶられて、気がつけば夢中になっていました。
雰囲気としては、王道のかっこよさを持ちながらも、どこか温かくて、読み終えたあとにじんわり余韻が残るタイプ。
格好つけすぎず、けれどしっかりと芯のある物語だと思いました。
つづきが自然と気になって、またページを開きたくなる……そんな空気を持った作品です。
<現時点で読ませていただいた冒頭5話まででのレビューです>
シドという若き英雄が平穏なギルドの日常を突如引き裂く瞬間を、緻密かつ大胆に描写している点が印象的だ。メアリーという妖艶かつ統率力を持つマスターの存在を通して、シドの圧力や英雄としての存在感をより際立って体感できる。ギルド内の冒険者たちが“龍の手”の圧に震え、無力さと恐怖を身体で示す描写は圧巻で、文章のリズムや視点操作が巧妙に計算されている。ユートの間抜けなやり取りや、魔核の知識の欠如が、シドの力量と緊迫感をさらに強調している。メアリーとのコントラスト、ユートの滑稽さ、そしてギルド内の混沌などが入り混じり物語をリアルなもの感じさせている。
王道ファンタジー設定なのに、なぜこんなに笑ってしまうのか。S級冒険者なのに常に苦労人ポジションに回される主人公シドと、規格外の魔力を持ちながら常識が皆無すぎる問題児ユートの組み合わせが絶妙すぎる。
特に、よくある「異世界転生チート無双」を真正面から皮肉った展開は秀逸。強大な力があっても使い方を知らなければこうなるという、ある意味リアルな描写に思わず納得。
キャラクター同士の掛け合いのテンポが素晴らしく、シリアスな場面でも緊張感を保ちつつユーモアを忘れない筆致は読んでいて心地良い。男性だと知っていても美少女にしか見えない主人公の扱いも含めて、ギャグのセンスが光る作品。
ファンタジー好きにもコメディ好きにもおすすめできる、娯楽小説の新タイプだと思います。