第9話

 バイトをはじめて二ヶ月ほど経った頃だろうか。

 久々に信一郎と、寝た。


 横浜駅から十分ほど離れた場所に建つ、古いラブホテルだった。


 バスタオルからの少しすえた臭いが気になり、体をのろのろと拭いていた由美を、信一郎は後ろから強く抱きしめた。


 信一郎の薄かった胸は厚く、浅黒くなり、骨ばった背中は、柔らかくも硬くもない肉に覆われていた。


 信一郎の動きは巧みになり、由美の上で動いている時間も以前よりずっとずっと長かった。


 そして受ける側の由美の体もいろいろと違っていたはずだ。


 信一郎の体の下で、由美は何度も声をあげた。あの頃には出さなかったような声で。


 二人は知らない者同士のように互いの体をまさぐりあった。

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