全（すべ）ては私の……

大変です！大変な作品です。ここまで読者を転がしていいのかとクレーマーを演じてみたいなあ、とか思っているそこのあなた！！
お読みなさい！
なんか刺激的な作品はないかなあと空を眺めてボーっとしているそこの君！！
お読みなさい！
小説は頭脳よね、頭でじっくり考えて、あれこれと作者の工夫を見つけ出す優越感を味わいたいのよ、とワイン・グラス片手に言っているあんた！
読め！
僕は訴えているテーマがしっかりした作でないと読みませんので、と眼鏡を整えながら斜に構えている七三分けのお主ぃ！
どうか読んでくださいm(_ _)m
ヨムコン専従型のカクヨムコン参加スタイルを取っておられる諸君も、ぜひ！
是非、是非！…続きを読む

　広義のＳＦとも解釈できるが、私は純文学だと感じた。余計な装飾のない展開が品のある古城で繰り広げられていくのは皮肉な秀逸さだ。

　作品が示す様々な可能性に没頭していると、スマホの時刻表示が古風な柱時計になったかのように思えてしまった。

　必読本作。

前半、古城に二人きりというシチュエーションがドラマチックで、その中で交わされるお互いを探り合うような会話もとても良かったです！
後半になると古典文学のような文体が生きてきて、不可思議ななんともいえない読後感へと読者を誘います。
終末世界×百合の組み合わせが好きな人に是非おすすめしたい作品です。

書くことのへの決意表明のようで、読み終わって、勇気が湧いてくるのを感じました。

論理のやりとりの底に、深い感情が横たわっていて、その抑制された心情がラストで宇宙へ解き放たれるところが、胸を打ちました。

とても面白かったです。