最終話:微妙な関係。
「ねえ、ヨーちゃん・・・暇だね」
「まあ、そんなもんだろ 」
「探偵なんて仕事の依頼がなきゃプ〜太郎みたいなもんだからな」
「食べていけるの?・・・こんなんで」
「大丈夫さ・・・まあそれなりに蓄えもあるしな」
「これで食っていけなかったらショーちゃん「柏原」が経営してる店にでも
雇ってもらうさ 」
「ダメだよ、あんなヤクザ屋さん」
「そんなことになったら、私が働く・・・」
「バーカ・・・おまえにそんなことさせられるか」
「私、髪伸ばそうかな・・・ヨーちゃんどう思う?」
「ヨーちゃんの好みってどっち、ロングそれともショート」
「ロングでもショートでも似合ってりゃいいんじゃねえか?」
「そか・・・」
「ねえヨーちゃん・・・私のことどう思ってる?」
「なんだよ藪から棒に・・・」
「そりゃ、おまえ・・・ズズは俺のよきパートナーだし・・・そういう意味で
言えば当然、好きだよ・・・じゃなきゃ一緒に仕事してねえわな」
「それだけ?」
「他になんて言えばいいんだよ・・・それじゃ不満か?」
「不満・・・ちゃんと答えてないし・・・」
「私が未成年だからってことがダメなの?」
「なにがダメなんだよ」
「私が未成年だから手を出しちゃいけないって思ってるんだ・・・」
「手を出すって・・・」
「まあ・・・まだ好いた惚れたには、ちょっと早いかもな」
「だから10年後まだおまえにいい男ができてなかったら俺が貰ってやるよ 」
「そのセリフ、前にも聞いたけど・・・」
「で、私が言ったの・・・10年待ってたら、おばちゃんになっちゃうよって」
「27歳でおばちゃんってのは全国の27歳女子に対して失礼だと思うけどな」
「そんなことより、10年は長すぎだよ・・・」
「今、ヨーちゃんが私のことどう思ってるかが問題なの?」
「なにが問題だよ」
「はっきり言うけど、私ヨーちゃんの正直な気持ち知りたい」
「高校生じゃあるまいし・・・なんで俺が校舎の裏で「あなたが好きです」
って告らなきゃいけないんだよ」
「そんなの言わなくたってフィーリングってやつで分かるもんだよ」
「だってヨーちゃんのクチから直接聞きたいの・・・」
「17歳って微妙な年齢だよな」
「見方によっちゃ、まだ子供だし見方によっちゃ立派な女だし・・・」
「なに?私が中途半端だって言うの?」
「そうだな・・・」
「ふざけないで!!」
「ん〜まあ正直言ってスズは俺のタイプってのはたしかかな?」
「で、パートナーとしても今んところ不服はないし・・・」
「そやって、人を褒めておいてずるずる答えを伸ばすつもりでしょ」
「分かった・・・俺はスズが好きだよ」
「それって友達みたいって意味で好きってこと?」
「あのな・・・俺を困らせるなよ・・・おまえを、ん〜してるなんて
言えるわけないだろ? 」
「ん〜してるって何?」
「もう、じれったいはっきり言いなさいよ・・・」
「だから・・・分かるよな・・・な?、そういうことだよ」
「分かんない・・・」
「あ、そうだ・・・また雑貨屋の婆ちゃんちの猫、脱走したらしいぜ」
「探してくれって頼まれてんだよ」
「え?また?・・・また行方不明なの?」
「あの猫、もうボケが来てて放浪癖があるみたいだからな・・・」
「暇だし、探しに行くか 」
「もう、誤魔化して・・・」
「そうだな、これだけは言っておいてやるよ、なにがあっても俺にはおまえが
必要・・・それが俺の答えだって、スズ」
END.
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