第18話:新たな男の存在。

金髪男、三田村の取り調べで、またひとりの男が浮かびあ上がった。

その男もやはり池田翔子と繋がりがあった。


その男の名前は「郷田 晃ごうだ あきら

三田村と同じ穴のムジナ・・そいつも遊び人、三田村よりヤバそうなやつ。


出てくるのはそんなやつらばかり・・・まともな奴はいないのか。

まあ、出会い系になんか出入りしてる奴だからな。

だいたいは、そんなやつらばかりなんだろう。


実は俺はそいつ郷田を知ってるんだ・・・いどころも。

郷田はいつも、「ディムハイド」ってバーに出切りしている。

バーのママがそいつの女。


俺はスズを置いて、その店を訪ねようと思った。

そしたらどこへ行くんだとスズに聞かれて・・・ウソつくわけにもいかないから、

郷田って男に会いに行くって言ったら、私も行くっていうんで危ないから事務所に

いろよって言ったんだけど、どうしても行くって聞かない。


パートナーなんだからいつも一緒だって言われて、しかたなくスズも連れて行った。

結局危険だからなんて言ってたら探偵なんて務まらない。

でもやっぱり、なにがあるといけないから外で待つようにスズに言った。


スズを外も待たせて俺は店に入った。

店の中は客がまばらで、さほど繁盛してるようには見えなかった。

でカウンターの中に、もうとっくに女を捨ててるようなヤレたママいた。

郷田の女なんだろう。


俺はカウンター席に座った。


「いらっしゃい、なににする?」


なんで夜の店の女はきまってダミ声なんだろう・・・なぜか共通してるよな。


「郷田いる?・・・ママさん」


「あんた誰?・・・あきらに何の用?」


「ちょっと聞ききたいことがあってね」


「あんた・・・サツだよ」


ママは奥の壁の方に向かって怒鳴った。


そしたら奥の席にいた男が慌てて逃げだした。

ママは俺を警察だと早合点したみたいだな。


俺はすぐその男の後を追った。

おそらく郷田。


「逃げるな・・・俺はサツじゃない、おまえに聞きたいことがあるだけだ」


そう言ったが郷田の耳には入ってなかったみたいだった。

すると郷田は慌てていたのかテーブルに足をぶつけてずっこけた。


俺が郷田にあと一歩ってところで奴は立ち上がって表のドアから外に逃げた。

俺もすぐにやつを追って表のドアを開けて叫んだ。


「スズ、気をつけろ・・・郷田が逃げた」


するとスズは、たった今ドアから泡てた表情で出てきた男が郷田だと

すぐに気づいたようで、


「止まりなさい・・・」


そう言って郷田の前に立ち塞がった。


そのスズを見た郷田は、ポケットからナイフを取り出して邪魔なスズに向かって

ナイフを振り回した。


「どけ!!」


ナイフを避けようとしてスズは歩道の植え込みに足をとられて後ろにずっこけた。

それを見た俺はスズを助けようと思ったが郷田はすかさずナイフを突きつけてスズを人質に取った。


「くそっ、スズを話せ」


「ヨーちゃん・・・」


「来るなよ・・・来たらこいつの顔がブスになるぞ」


そういうと郷田はスズを連れて逃げた。


ナイフを持った郷田を見て歩道にいた人たちは悲鳴をあげて方々に散った。


俺はバーの前に止めてあったオリーブに乗って歩道を走って郷田とスズを

追いかけた。


やつは途中にあった店の空き家にスズを連れて逃げ込んだ。

俺は空き家の前にオリーブを止めて空き家の中を覗いた。

暗かったが奥の方にスズと郷田がひそんでるのが見えた。


郷田はもう一度怒鳴った。


「来るなよ・・・きたらこいつを刺すぞ」


「落ち着け郷田・・・俺はサツじゃない」

「話を聞ききたいだけだ・・・」


「サツじゃねんだと?・・・本当だろうな・・・」


「俺はただの探偵だ・・・聞きたことがあるだけだから」


俺が警察じゃないと知って郷田がちょっと油断をした。


そのチャンスをスズは見逃さなかった。

下にしゃがむと郷田の急所に思い切り肘打ちを食らわした。

いきなりのスズ攻撃に郷田は悶絶しながらそこにしゃがみこんだ。


そのスキをついて俺はオリーブで郷田に向かって突っ込んだ。

すごい音がしてオリーブは郷田に激突した。

オリーブの前輪が郷田の股の間に食い込んでいた。


「ヨーちゃん・・・」


「スズ大丈夫か?」


スズは大丈夫ってふうに親指を立てた。


つづく。

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