深みのあるパリの風景・色・光・音が主人公カリムの心そのもののよう

パリに産まれパリで育った主人公のカリム。
プロの舞台に立つ事が夢で、幼い頃から16歳の今までピアノの練習を欠かした事がなく、才能に溢れている。

しかし、アラブ系移民の息子という境遇だけのせいで、彼は一生光の差すところには行けないのだろうか?
「どうあがいてもフランス人にはなれない」

カリムの家族、幼なじみの親友、音楽の先生との関わりの中で、味わう挫折と与えてもらう希望の光。

単なる青春ドラマではなく、わずか一万字という作品の中に詰め込まれた大切なもの。社会の闇の部分をも考えさせられる。

チェロとピアノの深い深い輪舞曲(ロンド)の演奏がいつまでも心の中に残るような作品です。

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