光と影のコントラストで描かれる、ピアニストを目指す少年の物語

プロの音楽家に憧れながらも、アラブ系移民の息子という立場に引け目を感じている少年カリム。
区立音楽院のピアノ科に通う彼に、チェリストである友人のアントワーヌから、二重奏で共演することを持ちかけられます。

まるで映画を観ているような冒頭の美しいシーンから、カリムの住む低所得者向けの公営住宅へと切り替わり、彼の現実の生活を見せつけられます。

光の差すところへ行きたい──

光と影に翻弄されるカリムの心情が痛いほど伝わってきます。

恵まれた環境のアントワーヌに対する引け目や、ソロから伴奏にまわされたことへの不安、病気の父や厄介な兄の存在。
様々なことに押しつぶされそうになるカリムでしたが、最後に背中を押してくれたのも家族でした。

少年の葛藤を描いた珠玉の名作。お薦めです。





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