フランス生まれのアラブ人の16歳、パリの音楽院に通うカリムの青春

カリムはピアノが好きで、パリの区立音楽院に通っている。しかし、理解者の教師からは伴奏者のコースを薦められた。教師は彼の才能を知っているが、彼がアラブ人がソリストとして生きていく道は厳しいからだろう。

ある日、幼馴染みのアントワーヌにチェロの伴奏を頼まれた。彼のうちは音楽一家で、グランドピアノまである。
カリムの家は貧しく、父親は入院中で管につながれている。
どうあがいたつて、フランス人にはなれないと兄は言う。
それは正しい。
アントワーヌとの練習はうまくいかない。それはカリムが音楽に集中できないからだ。
アントワーヌはカリムの才能を見抜いていて、尊敬していると言う。卑屈になるなと言う。
しかし、フランス人の金持ちのおぼっちゃんに何がわかるかとスリムは思う。
そろそろ17歳になる。もう夢を見ている場合ではないのだ。音楽を諦めようか。
カリムは父親の病院にいく。父親の指が動く。父は何を言おうとしているのだろうか。
ここまでが4話。
次の最終話を待たないで書いているので、今はここまで。

パリに住むアラブ人少年と彼を取り巻く人々の物語。
パリを舞台にした物語はたくさんあるけれど、アラブ人の、それも音楽家志望の少年を描いた小説は初めて。柊さんの才能とやさしさが光る作品です。







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