音楽史に残る残酷なカストラートを巡る哀しくも美しい純愛物語

ボーイソプラノを保つためだけに去勢され、教会に結婚を禁じられて子供を持つこともできなかったカストラートに光を当てた、純愛物語です。カストラートが隆盛した18世紀イタリアを舞台にし、悪魔憑きという当時のキリスト教の思想も取り入れた意欲作です。

作者様の深い知識に基いた音楽の描写が素晴らしく、音楽と共に育まれるリオとオリヴィアの純愛が美しいです。ですがリオは養親の強欲故に断種されてしまい、オリヴィアと結婚できないことになり、読者に切ない感情を呼び起こします。それでもオリヴィアは健気にリオと共にいれる音楽の道を選びます。

2人が困難を乗り越えて愛を育み、人々を悪魔憑きから救う続きが楽しみです。

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