イタリアへの音楽留学経験をおもちの作者様ならではの、ドキドキするようなリアリティと臨場感が散りばめられた、歴史ファンタジー!
まずはプロローグを読んでみてください。
この臨場感! この華やかさ!
圧倒的なプロローグです。この一話だけでも、この物語がどれだけのポテンシャルを秘めているか、たちまち伝わるでしょう。心ゆさぶられることでしょう。
特に注目は、歌唱シーン! この作品には歌のシーンがたくさん出てきますが、毎回毎回創意工夫が凝らされていて、新鮮で、単調にならず、読んでいてほんとうに圧倒されます。オリヴィアとリオ、さらには他の歌い手たちの声が、すぐ間近に、耳に聞こえてくるようで……いったいどうして、こんなにリアルに音楽を文章化できるのか!? すごい! これぞまさに、綾森先生マジックです!
▼舞台は、18世紀のイタリア。
少女オリヴィアと、少年リオは、寒村で出逢う。
『カストラート』という、男子を去勢して美声を保つという、恐ろしい慣習――。
そんな時代の社会矛盾のなかに、ふたりは巻き込まれてゆく。
幼かったふたりの心は、やがて切ない恋心へと発展していき……
ふたりは村を出て、音楽の都・ナポリへ!
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悪魔退治のファンタジー要素も入っていて、リアルとファンタジーが調和したストーリーが、すごく面白かったです。
……と思えば、当時の社会矛盾の仕組みが、しっかりと描かれている部分もあって、歴史物としても読み応えがありました。
オリヴィアとリオが音楽学校に入ってからの、学園生活の空気感も素敵です!
少女を守るために『天使』となった少年リオと、そんな彼を守るために男装をして歌手を目指そうとする少女オリヴィア。
二人の歌が、愛が、中世の錬金術師が残した悪魔召喚術を蘇らせた悪魔崇拝者たちから、世界を救う物語です。
異国情緒溢れる描写が本当に素晴らしく、まるで自分自身が経験しているかのような充実感、読後感があり、作者様ご自身の経験が活かされているのだろう『音楽』や『歌』の授業風景や練習風景は細やか且つ丁寧で、リアリティがあります。
各登場人物達の音楽、歌に対する姿勢もそれぞれで、『音楽や歌が好き』という気持ちだけでは成り立たないそういった現実的な部分にも、キャラクターの個性が光っています。
作中には実在する歌手や音楽家達も登場するため、今は偉人ともされる歴史上の彼等にも御作品を通して思いを馳せることができます。
少年少女の甘酸っぱい恋愛だったり、音楽の深い知識に触れられることができたりと、たくさんの魅力が詰まったオススメの御作品、ぜひ一読下さい!
文章を追っているだけなのに、音が聴こえるし、音が作り出す世界が見える。
情景描写とも心理描写とも違う圧巻の表現力、脱帽です。
音楽経験のない方でももちろん楽しめますが、経験者の方は一層楽しめるのではないでしょうか。
歌でも楽器でもダンスでも、何かしらに触れたことのある方ならば、この作品の魅力が存分に伝わるはずです。
初めて音楽に触れた時の喜びも、技術が気持ちに追いついてくれない焦燥も、舞台に立った時の高揚も、全てが鮮明に蘇ります。
そんな音楽の世界へ足を踏み入れることになった少女と少年が、互いの手を取り合って少しずつ歩を進め、他者を救い、他者に救われながら成長していく物語です。
音楽、歴史、ファンタジーが美しく混ざり合う重厚なストーリーを、ぜひご賞味ください。
大事なものを失ってまで歌の世界に飛び込んだ男の子と、彼を支える為に男の子のフリをして同じ世界に飛び込んだ女の子の物語です。
歌で悪魔に立ち向かう……といった単純な話ではなく。
ファンタジーの世界が合わさっていますが、音楽がリアル!声楽とか合唱の経験がある方なら、あるある〜と思わず唸ってしまうのでは。というか、唸ってしまいました。
当時のオペラの様子だったり、歴史上で実際に活躍した方も登場しており、歴史物の側面もあってその知識に感服するばかりです。
歌の世界とはなんと厳しいものですが、その歌の力で救っていきます。そして、二人も成長していきます。
まだ序盤でしょうかね、微笑ましくも立ち向かっていく二人に注目ください。
あらすじにあるように、少年リオは少女オリヴィアを守るため、手術を経て男性ソプラノ歌手を目指す「天使」となり、少女オリヴィアは彼と共に歩むため、男装をしてナポリの音楽学校に入ります。
そこは、二人のような「特別」な少年(とオリヴィア)たちと、「普通」の少年たちの入り混じった音楽学校です。音楽学校なので素晴らしい先生がいて一流の指導を受けられるのですが、反面、自由時間は少なくレッスンは厳しいです。もちろん「特別」な少年たちへの嫌がらせもあります。
それからちょっと癖があるけど的確なアドバイスをしてくれる先輩も。
そんな個性豊かな面々に囲まれ、厳しい世界で揉まれながら高みを目指す二人の歌声には、どうやら特殊な力があるようで……。
ストーリーも、カストラートを扱うなかなか見ない斬新な設定や音楽学校のレッスンなど盛り込まれ大変面白いですが、何より「歌」を流れるような旋律として文章で表現する作者様の手腕に惚れ惚れいたします。
ぜひおすすめの一作になります。
男の子は女の子を守り抜く為に、そして女の子は男の子を優しく抱き留める為に、互いに手を取り合い、美しい声を響かせ、遙かな大舞台を目指します。
三世紀前のイタリアに実在した伝説的男性ソプラノ歌手を真正面から描いた世界初のファンタジー小説です。
少年はソプラノ歌手として生きる意志を固め、悲痛な手術を受けます。もう、取り返しが付かない…その事実を知った少女も強く決意して、こちらは長い髪をバッサリと切断。牧歌的な村を去って、オペラの聖地ナポリへ向かいます。
スター候補生ではあるけれど、歌のレッスンは厳しく、周りは一風変わった者ばかり。中には禍々しい靄に包まれた生徒もいる。そして、特別な少年と男装の少女の歌声には浄化の力も備わっていた……その美声に大きな悪を打ち砕く能力があることを二人は未だ知らない。
第三幕に至った物語は、次に続く大きなターニングポイント、更に高いステージに昇る予感を孕みつつ、時にコミカルに、時に詩情豊かに展開しています。この先の遠くない未来、二人を待ち受ける運命は如何に?!
本作の白眉とも言えるのは、後期バロックの世界を史実に基づき、丹念に絢爛豪華に活写していることです。
特殊な声楽の技法、レッスン風景、更に当時実際に使われていた楽器。そこに余人の追随を許さない作者様の実体験、洋行帰りの面目躍如たる専門知識が盛り込まれています。これには本邦のオペラの愛好家のみならず、音楽史の碩学も舌を巻くことでしょう。
こうしたリアリティたっぷりの表現、解説をファンタジー作品で鑑賞できることは奇跡と申せましょう。超本格派と呼ぶに相応しい。
それでも決して難解ではありません。作者様の小慣れた描写は遊び心も夢もあって、読者を引き込ませる魅力に溢れています。正に、心躍る文字のオペラ、万人向けのエンターテイメントです。
☆☆☆
重要なので、もう一度リピートしますが、史上最強とも言える男性ソプラノ歌手について、悲劇的な手術を含め描かれたファンタジーは、唯一無二で、調べを尽くしても、古今東西に類似作品は見当たりません。
その小説がウェブで連載されているのです!
是非、多くの読者に歴史の目撃者となって頂きたい、と切に願って止みません。
オペラを軸としたイタリアを舞台にした恋愛ストーリーです。ただ、読み味としてはファンタジー小説というかラノベに近い読み味ですので、読みやすいというよりは、親しみやすい小説だと思います。
物語としては、幼い男女がオペラの世界を目指すのですが、声楽というものは色々奥深くて、色々な試練が二人の前に待ち受けているのです。しかし、一人で乗り切れない困難も二人なら、って感じの骨格なんですが、読了後の余韻が深刻で暗いものにはならないのです。なので、読み手の選ばない小説だと私は思います。
音楽の話は難しいな。という先入観で今まで読んでない人、もったいなにです。是非、一回読んでみてください。音楽好きじゃない人にも、音楽好きな人にも刺さる作品だと私は思います。
第1幕まで拝読したレビューとなります。
時は18世紀のイタリア。
貧困に喘ぐ孤児の少年と少女が大人たちの汚い欲望に翻弄される物語です。
現代日本ではあり得ない惨たらしい所業をされた少年。
そんな彼を愛し、彼と共に歩ことを決心した少女。
音楽が2人を繋ぎ止め、過酷な運命に立ち向かっていく。
2人がデュエットをするシーンは、まるで映画のワンシーンのように美しく脳裏に浮かびます。
また悪魔付きなどファンタジー要素が詰め込まれた世界観は、他に見ることがない作品でしょう。
お互いを想い純粋な愛を捧げる2人、この先にどの様な未来が待っているのか。
作者は音楽、特にオペラなどに精通いるのでしょう。
その描写にはリアリティがあり話が進むにつれて、その世界観に引き込まれていきます。
舞台設定も細かく描かれ、歌の特訓をする様子は感心するばかり。
音楽や芸術を愛する方に必見の物語です。
時はちょとだけ昔、場所はイタリア。
声の透き通る女の子と男の子の声が重なる物語―――。
男の子は女の子のために、歌で生きる決意をする。
その決意には、実際の世界観であったであろう男の子にとって大切なものを失いその美声を保つという決断が含まれる。
女の子はその決意に心打たれ、男装をして、共に声楽の道へと進んでいく。
男の子は男としてのものを失い、女の子は男として道を進む男女逆転のストーリーが、歌のキー、声の二重奏を通して美しく紡がれ、古き良きイタリアの美しき宗教音楽が目に浮かびます。
冬の季節、新しい作品を手に取ろうとしている読み手の皆様。
音楽のストーリーですが、専門的な表現をすごく分かりやすくお話に落とし込まれていてととも読みやすいお話です。
お話の構成は、流石大人気作家さんというところ。
とても面白くまとまっていて、読みごたえも十分あります。
是非、この素敵な音に触れてみてください。おススメです。
【追記】
このお話は『史実』に基づいて構成されているのです!
なので、一度は耳にした音楽家さん達が出演していて、それをウィキ等で調べながら読んでみてください!めっちゃ面白いでございますわよ( *´艸`)
第一幕「リオが天使になった日」の最終話(現時点の最新話)まで読んで、レビューを書いてます。
物語は、女性たちの理想の貴公子オリヴィエーロと男性高音歌手リオが劇場の観客を魅了するシーンから始まります。
しかも、どうやら劇場には悪魔がいて、オリヴィエーロとリオがその悪魔を消して回っているようです。
それに、オリヴィエーロは実はオリヴィアという名前の女の子!!!
ふたりがどうして、悪魔を消して回っているかと言うと……
冒頭から魅力的なはじまり方をする物語!
イタリアが舞台なのですが、世界観がしっかり作りこまれていて、すごい!とうなる場面の多いこと。多いこと。
イタリア好きの方には、まちがいなくおススメ!
よくある西洋風とは一味違う洋風感が味わえること間違いなしです☆
なのですが、
わたしが一番すごくて見どころだと思うのは、作者様の音楽への造詣の深さです。
物語の其処此処に歌うシーンが散りばめられていて、しかも描写がリアル!登場人物たちが歌う様子が目に浮かぶようでした(*´ω`)
ほんとうに、ステキ!!!
なので、音楽好きの方にもすごくおススメです☆
第二幕「ナポリ編」も、今から楽しみです(((o(*゚▽゚*)o)))vV
すでに何人もの方が絶賛されている素晴らしい作品なので、私ごときが、とは思うのですが、どうしても言いたいことが一つだけあります
それは大舞台で歌を歌った人間にしか掴めない音楽のリアリティが、この作品にはあるということです
この運命の二人がデュエットするシーンがあるのですが、削ぎ落としたシンプルかつ的確な表現で、音楽が軽やかに人間の精神と肉体を超越させて二つの魂を結び合わせていく瞬間が描かれていて、驚嘆すると同時にとても感動しました
文字でここまでの表現は、たとえ一流のプロのオペラ歌手だったとしても難しいと思います
一方、音の出せない小説表現で、音楽を表現することはプロの小説家でも成功している人を数えるほどしか見ません
そこに果敢にチャレンジしていき、さらに毎回グレードアップしていく、この作者様の煌めくような才能に惚れ込みつつ、今後も熱いエールを送り続けたいと思います
リオとオリヴィアは聖なる歌声を持ち、二人が歌うことで悪魔が祓われる。
そんなストーリーの背景で、二人に待ち受ける過酷な運命があった。
聖歌隊で歌えるのは男性のみ。
特に高音の音域である男性ソプラノは高い人気を誇っていた。
しかし、その裏で蠢く金や地位といった大人達の欲望が、孤児だった二人を翻弄する。
人身売買のブローカー。高音域を維持する為の去勢手術。欲望に囚われた育ての縁者。
実際の史実としてあった出来事を元に、悪魔付きなどの要素も上手く絡めた、シリアスラブストーリーといった作品です。
音楽や歌に知識がある人は、より楽しめると思います。
18世紀のイタリアが舞台。
流行り病で両親を亡くした10歳のオリヴィアは、親戚の家に引き取られる。
まもなく、9歳の、金髪の男の子、リオネッロも、その家に引き取られてくる。
姉と弟のように───。
二人は、互いを守りたい、と願う。
やがて、純粋で強い、愛が描かれていきます。
この物語は、流行り病や、大人の酷い行いなどから目をそらさず、時には暗い雰囲気も漂う物語です。
でもそれは、18世紀のイタリアを舞台としているから。
作者さまの「書きたいものを書くんだ!」という気持ちが熱くこもっている物語です。
また、オペラ歌唱のシーンは、圧巻です。
面白いので、一気読みがおすすめですよ!
十八世紀のヨーロッパを舞台に、美しい歌で悪魔を浄化してゆく男装の主人公と、彼女を愛する天使のような彼の純愛を描いた物語です。
ファンタジー要素はあるものの、背景の歴史や習慣などは史実に寄っており、歴史モノとしても楽しめるように思います。
流行り病で家族を失いとある夫婦に引き取られた主人公オリヴィアは、同じように引き取られてきた少年リオと打ち解け、深く信頼し合うようになります。
不遇ではあるものの、持ち前の明るさと意志の強さで養い親の冷たい仕打ちを跳ね除けてきた二人ですが、やがて物欲に駆られた大人たちの企みが二人に襲いかかります。
悲劇ではあるものの、二人はそれで心折れてしまうようなことはなく。
オリヴィアもリオも、自分たちが一緒に、幸せに暮らせる道をあきらめたりはしません。今できることをさがし、まっすぐに生きようとする二人を、読んでいる側も応援したくなります。
二人は望み通りに一緒の道を歩めるのか、悪魔とは何なのか、これから先の展開も気になるところ。ぜひご一読ください。