時は十八世紀、男性ソプラノ歌手と男装の麗人の「世界を救う歌」が響き渡る

あらすじにあるように、少年リオは少女オリヴィアを守るため、手術を経て男性ソプラノ歌手を目指す「天使」となり、少女オリヴィアは彼と共に歩むため、男装をしてナポリの音楽学校に入ります。

そこは、二人のような「特別」な少年(とオリヴィア)たちと、「普通」の少年たちの入り混じった音楽学校です。音楽学校なので素晴らしい先生がいて一流の指導を受けられるのですが、反面、自由時間は少なくレッスンは厳しいです。もちろん「特別」な少年たちへの嫌がらせもあります。
それからちょっと癖があるけど的確なアドバイスをしてくれる先輩も。

そんな個性豊かな面々に囲まれ、厳しい世界で揉まれながら高みを目指す二人の歌声には、どうやら特殊な力があるようで……。

ストーリーも、カストラートを扱うなかなか見ない斬新な設定や音楽学校のレッスンなど盛り込まれ大変面白いですが、何より「歌」を流れるような旋律として文章で表現する作者様の手腕に惚れ惚れいたします。

ぜひおすすめの一作になります。

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