もう二度と人を愛することはないと信じていた

 一度は愛すべき人と出会いながら、己の過去と向き合えず、自分には愛する資格がないと手を振り払い、愛した人を戻るべき場所に送りだした。その代償に己の感情を誤魔化し、創業する会社の歯車となり偽りの日々を送る男。

 自分の過去の呪縛から愛される資格がないと過去を隠し、ただひたすら陰を歩いて幸せになることを見失った女。

 二人の出会いは他愛もないことであった。そして二人が結ばれるのも、ただお互いの利害のためだった。男は、創業する会社の跡取りを得ること、女はその跡取りを生むことで報酬を得ること。形だけの結び。それが終われば、もとある生活に戻る。そのはずだった。

 だが、男と女の運命はそう容易くは成就させることはなかった。

 男は女の心の温かさに触れ、その笑顔から自分を取り戻したとき、女の過酷な過去を知ることになる。女は、男の優しさに触れ、愛される資格がないと信じながらも、男の愛を受け入れる喜びを知る。

 二人がお互いを求め合ったとき、女の過去の呪縛が真の姿をあらわしていく。そのなかで男はある選択を迫られる。創業する会社のために女を捨てるか、それとも己を捨て女を守るのか。

 果たして、男が選んだ答えは・・・・・

 この物語は、過去の呪縛に囚われ自分を失った男と女が出会い、お互いを想い合うことで過去を乗り越えて、真の自分を取り戻していく物語です。 

 気持ち引き込まれるミステリーと二人が歩む運命の先をぜひ、お楽しみください。

 




 

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