これは『あの娘が空を見上げる理由』のスピンオフ作品です。
主人公の一人は『あの娘』の木材卸会社 木寿屋のイケメン社長、九条涼真。もう一人は、仕事も熱心、英語もペラペラ、しかも涼真の想い人だった美葉に良く似た美人の畑中咲良。
忘れられない女性に似た咲良に興味を持つが、それを契約結婚という短絡的な形で成就させようとする涼真に、咲良は高潔な NO を突きつけます。それを初めて恥ずかしいと感じる涼真。そこから彼が変わってきます。
前作では正人を忘れられない美葉に敢えて別れを告げて、彼女の恋を後押しする大人の男に成長した涼真ですが、今作では更に男らしくなり、咲良を大切に思い、頭を使い、身体を張って彼女を守ろうとする社長にハートをわしづかみされてしまいます。イケメンでこんなカッコよかったら反則でしょ……。
絡み合った謎とサスペンスの側面ももちろん見逃せないのですが、ちょっとチャラ男だった涼真が真の愛を見つけて変わる彼の成長譚としても大変楽しめる作品です。ぜひご一読を!!
英語が堪能な明らかに「ワケアリ」を匂わせるクリーンスタッフのヒロイン、咲良。
ヒーローは老舗の材木の卸を営む会社のクールなイケメン社長、涼真。
ひょんなことから出会った二人は身分違いの契約結婚の約束をしますが、いや、もうくっついちゃえよとツッコミが止まらなくなるほど互いに惹かれあっていきます。
ですがそうは問屋が卸さない! その時、暗雲が忍び寄ります。そう、ヒロインの過去が。
キャッチコピーをご覧になれば、ああ、何かあるのだな、嘘とは? そう、ここからじわりじわりとサスペンス要素が読者を羽交締めにしていきます。
もうそうなれば、このストーリーから離れることができなくなります。
複雑な人間関係をわかりやすく描写する作者様の腕にも脱帽です。
恋愛、サスペンス、人間ドラマを丁寧に読ませてくれるこの作品にあなたも飲み込まれること間違いなしです。
読んでよかった、出会えてよかったと読了ののちに思わせてくれる素晴らしい作品です。
心からおすすめいたします。
クリーンスタッフとして働く女性が、社長と契約結婚。次第に二人は心を通わせていき、やがて真実の愛が芽生える……?
と、本作はそう簡単には終わりません!
現代のシンデレラストーリーであることは間違いありません。ですが、本作の最大の魅力は、ストーリーの根幹に複雑な人間関係が練られていることだと思います。
主人公の咲良と涼真は、それぞれ心の内に根深い問題を抱えています。
ネタバレになってしまうので詳細は書けませんが、彼らの過去が少しずつ明らかになっていく過程で、物語はサスペンスの香りを漂わせ始めるのです。
読者は、二人の恋愛模様にジレジレしたりニヤニヤしたりしながらも、過去に起こった事件の真相について考察を巡らせ、一筋縄ではいかない人間模様にハラハラして、思わぬ真相に怒りを覚えたり涙を流したりすることでしょう。
私は、とあるシーンで涙が止まらなくなり大変でした。(電車内での読書に注意!)
これら全て、緻密に練られたキャラクター設定のおかげではないでしょうか。
恋愛ものを楽しみたいけれど、スパイスも欲しいという読者さんにも大満足いただけるはずです。
障害があるほど恋は燃えるもの!
多くの方にお読みいただきたい一作です。
この物語を途中まで読み進めたとき、
はっとしてまた1話から読み返している自分がいました。
美しい文体、よく練られた構成、京都という私の大好きな土地(笑)で、
身分違いの結婚をする二人の運命を、最後まで見届けたくなります。
私が再び最初から読み返そうと思ったのは、物語の大筋を知った上で、
文章の端端に散りばめられている伏線や細かな表現を、もう一度感じたいと思ったからです。
それぐらい、激推ししたい作品。
この物語に出会えてとても光栄です。
恋愛だけでなくミステリ要素もあり、さまざまな人物たちの意思が交差しているところは本当にお見事としか言いようがありません。
素敵な作品をありがとうございました。
一度は愛すべき人と出会いながら、己の過去と向き合えず、自分には愛する資格がないと手を振り払い、愛した人を戻るべき場所に送りだした。その代償に己の感情を誤魔化し、創業する会社の歯車となり偽りの日々を送る男。
自分の過去の呪縛から愛される資格がないと過去を隠し、ただひたすら陰を歩いて幸せになることを見失った女。
二人の出会いは他愛もないことであった。そして二人が結ばれるのも、ただお互いの利害のためだった。男は、創業する会社の跡取りを得ること、女はその跡取りを生むことで報酬を得ること。形だけの結び。それが終われば、もとある生活に戻る。そのはずだった。
だが、男と女の運命はそう容易くは成就させることはなかった。
男は女の心の温かさに触れ、その笑顔から自分を取り戻したとき、女の過酷な過去を知ることになる。女は、男の優しさに触れ、愛される資格がないと信じながらも、男の愛を受け入れる喜びを知る。
二人がお互いを求め合ったとき、女の過去の呪縛が真の姿をあらわしていく。そのなかで男はある選択を迫られる。創業する会社のために女を捨てるか、それとも己を捨て女を守るのか。
果たして、男が選んだ答えは・・・・・
この物語は、過去の呪縛に囚われ自分を失った男と女が出会い、お互いを想い合うことで過去を乗り越えて、真の自分を取り戻していく物語です。
気持ち引き込まれるミステリーと二人が歩む運命の先をぜひ、お楽しみください。
一読し、全ての真実を知った後もう一度最初から読み返すと、多くの印象的なシーンがガラリと色を変える、底知れない奥深さを持つ御作品です。
特にほとんどの主要登場人物が意外な本性や正体を隠しており、ストーリーの主軸と密接に絡んでいるため、「もしこの人の立場や考え方が違っていたら、結末はどうなっていたのか…」などと、想像が尽きません。
予断を許さない緊張感溢れる展開も緻密な構成に収束され、この上なくスッキリと気持ちの良い読後感を得ることができます。
特にタイトルになっている「日なた雨」が秀逸極まりないです。ネタバレにならない範囲で申し上げますと、第四章のラストと第五章のラストは、どちらも美しい光の中で静かに雨が降るというシーンなのですが、それらの意味が全く異なることに驚きます。情景描写と心情描写というのは、こうも変幻自在に複合できるものなのかと、改めて頭が下がります。
もちろんこの一本で恋愛・ミステリー・人間ドラマを味わい尽くすことができる面白い御作品なのですが、言わずと知れたこの御作品の主人公の一人である「九条涼真」、そしてたびたび間接的に言及される「谷口美葉」、このお二人のパーソナリティを把握すれば、この御作品をより楽しめるものかと思われます。作者様の代表作である「あの娘が空を見上げる理由」シリーズも是非お読みください。私見ですが、「君の嘘は日なた雨のように」のハイクオリティを長編シリーズでやっておられるのが「あの娘が空を見上げる理由」かと存じます。
「暗い雨が降り続ける」でも、「晴れ渡り雨が止んでしまう」でもない、「降る雨の意味を変える」という強く美しい結末を、是非お見届けください。
最後まで見届けたので、やっとレビューが書けます。
途中からハラハラしすぎて心臓が痛かった!
創業百六十年の木材の卸会社木寿屋の社長涼真とクリーンスタッフの畑中咲良の、シンデレララブストーリー。
立場の違う二人がどんどん近づいていき、甘い雰囲気になったかと思えば、咲良の暗い過去が忍び寄る。
途中、読むのが辛くなるシーンもあるかもしれませんが、最後は読者を満足させてくれると信じて読み続けてください。
作者さんはストーリーテラーでもありますが、言葉のチョイスや表現力が秀悦で、ちょいちょい立ち止まっては言葉をかみしめてしまいます。
ぜひ、ハラハラしながらも、素敵な言葉を発見する喜びを味わってください!
洗練された舞台劇のような台詞が毎話、胸に突き刺さる大人の恋愛譚です。
その年の「四月一日」は、今までのどの桜咲く春とは違った…
京都の老舗会社に清掃員として入社したヒロイン・咲良は、不思議な縁から会社の社長・涼真と近しくなり、意外過ぎる提案を受けます。
それは偽装結婚の誘いだった…余りにも不釣り合いな二人の男女の出逢いから、物語が始まります。
──愛を知らない独りの男性、愛を知りたい独りの女性
社会的な格差は圧倒的で、障壁は余りにも高い。双方が悩み、戸惑い、行手には荊棘が立ち塞がります。
果たして仮初めの結婚に、意味があるのか?
苦難を乗り越えた先に、祝福される未来が拓けているのか?
序盤は、途方に暮れながらも直向きに前進するシンデレラ・ストーリーにも思えますが、二人の過去が絡み、謎を秘めた展開に読者は驚き、引き込まれていくことでしょう。作者様の真骨頂とも言える深みのある人間ドラマの開幕です。ヒロインの周囲にちらつく不審な影、過去に起きた重大事件とは何か?
予測し得なかったスリリングな物語が待ち構えています。直線的構造のロマンスではなかった…謎が謎を呼びます。
作者様は、代表作の大河ドラマで、人と人の思わぬ繋がり、或いは巧妙に配置したアイテムで読者の度肝を抜いた伏線回収の名手でもあります。現在、四十話を過ぎた辺りでの寸評になりますが、期待します。ハンカチを用意して物語の行く末を見守りたい。
そして、序盤で得た「名作かも」という読者諸氏の予感と手応えは「本物だ」と力強く言い切ります。
創業100年を超える老舗の若社長。世間体や母親の小言に結婚を考える。そんな時に現れたのは、かつての恋人に良く似た清掃員の女性。卓越したスキルも目を見張る学歴もない彼女だったが、ネイティブな英語に華麗なダンスと奥深い才能を秘めていた。
そんな彼女に若社長の涼真は契約結婚を持ちかけるのだが……。
この物語の素晴らしい点は、ヒロインの咲良と主人公(?)の涼真、男女二人の視点から物語が広がっていくことです。社長と清掃員、裕福と清貧……全く対照的な立場の二人を両面から描くことで、より一層の深さを醸し出しています。
ただのシンデレラストーリーではない至極の本作を是非ご覧ください!
序盤しか読んでいない。なので、終盤にかけてこれを描いているかは分からない。ただ、そうしたワクワク感なりドキドキ感は十分に感じる。そして、この先に何が待ち構えているのかも、楽しみである。
ところで、ヒロインは秘密を抱えている。ファム・ファタールというのは良い意味でも悪い意味でも用いられる。彼女が男にとってどちらのファム・ファタールになるのかと、秘密が結びつくのか否か? そこもまた気になるところである。
男は、恋愛に対して多少やさぐれ気味である。恐らくは、前の彼女と別れた(振られた?)ゆえに。そしてヒロインはその元カノとそっくり。男が本当に求めているのはどちら?
と、恋愛小説好きの読者を絡めとるものがちりばめられている。
辛い境遇の中、それでも生きている女性、畑中咲良。
そんな彼女の前にある日、王子様のような男性、九条涼真が現れる。
やがて二人は出会い、結婚という選択肢を選ぶ。
そんなシンデレラのようなお話が、こちらの作品となります。
ですがどうやらこれには、お互いに事情があるようで…?
中卒という学歴でありながらも語学堪能、社交ダンスやマナーもつつがなくこなす咲良。
人を愛することが出来ず、契約結婚で周囲を納得させたい涼真。
それぞれに秘密や相手に言えない目的を抱え、その一方で互いの心に少しづつ触れ合いながら時は過ぎていきます。
さて、そんな二人の行方はどうなっていくのか?
皆様ご自身の目で、ぜひ見届けていただきたく思います!
物語は老舗の木材卸売会社の社長にクリーンスタッフの女性が見初められるところから始まります。表題通りのシンデレラストーリー…と思いきや、そんな単純なお話ではありません。
社長は心を寄せていた女性に振られたばかりで、ヒロインはその女性に似ています。さらにヒロインの方にも何やら過去に事情を抱えている模様。
作者の堀井氏は繊細な心情描写を得意とする作家さん。本作も登場人物たちの繊細な心の機微を巧みに描いてくれます。
わたしたちは物語を読む時、何を求めるのか…それは一つには感情を揺さぶられることではないでしょうか?この物語は間違いなく、そんな欲求を満たしてくれますよ☺️
物語は、主人公の咲良が勤め先のイケメン社長に契約結婚を持ちかけられるところから始まります。
注目すべきは、シンデレラストーリー的な筋書きの中で、登場人物たちの暗い過去や、誰にも言えない秘密が巧みに織り交ぜられていることです。華やかな愛の物語に散りばめられた登場人物たちの苦悩が、まるで地面に落ちてしまった儚い花びらを見るかのように、読者の心に切なく苦しい気持ちを抱かせます。
徐々に明かされていく登場人物たちの影の部分は、今後の展開にどんな影響を与えていくのか願くば、散った花びらに雨粒が落ち、美しく光り輝かんことを。
その男は木材の卸会社木寿屋の社長・涼真、37歳。お見合いを迫られ困っていたところ、嘗ての恋人によく似た女性・咲良に出会います。
新しいクリーンスタッフである彼女は、初出社にウキウキし、初対面の先輩の嫌味にも負けず、お掃除スキルも高い女性。中卒でありながら英語が堪能で、社交ダンスもお手の物。涼真をリードするほどです。積極的、かつミステリアスな部分もあり、とても魅力的なヒロインです。
ことあるごとに元恋人の面影を追う涼真ですが、徐々に咲良自身の美しさに気付いていきます。その生い立ちや育ち方から愛し方を知らない涼真は、そうとは意識せずに酷いことを提案してしまうのですが……。
涼真の硬く閉まった心の扉を、咲良が開いてくれるよう。
いえ、涼真自身が、自らの心の扉を開くことを願ってやみません。
『あの娘が空を見上げる理由』シリーズでの涼真とはまた違った面を見せてくれるこのお話。いつもながら文章力が高く、安心して物語に没頭できます。
お薦めします(^^)!