にぎる。にぎる、という行為。きっとそこにはいろいろな想いが…詰まっている。君にとっても、僕にとっても、変わらない夢があったはず。飲み込んで、塩辛い涙の意味を思い出す。そこにあるのは…。悲しいけれど、希望にあふれていた物語。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(142文字)
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短いながらも心に響く作品です。シーンはランチを食す。ただそれだけのことなのですが、そこへ帰結するべく物語が綴られております。牧歌的であり、それでいて感傷的で。読み進める内に心が痛むと同時に優しさを感じることができます。想いは永遠に。記憶に込められた感情も色褪せることがないと気付く。少しばかり悲しげで、儚い記憶の物語です。お勧めの作品です。
いつものおにぎり三つ。何気ない味。でも、三つ目の味がどうしても誤魔化しがきかない。落ちる涙で握りを濡らしても、感じ取るのは儚いしょっぱさ。それでいて飾らない文体は、行く末の未来の空へと、連綿と続く想いの架け橋のように紡がれて、純粋に美しい。食卓に並ぶいつもの味は、決して当たり前の味ではない。カタチのない味に、溢れる愛をどこまでも大切な想いで温めたい。忘れかけていた感謝の念を持って、今日も箸を動かしたくなる良作。
手作りのお弁当って、ご家庭や作った人の個性が出ますよね。特に【おにぎり】。亡くなった誰かの握ったおにぎり。もう二度と食べられない。握り加減、塩加減、具、海苔…懐かしくも切ない。優しいおにぎりの思い出と、もう会えないあなたへのひたむきな愛。とても素敵な短編です。ぜひ。
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