おにぎりが結ぶ、想いの味

いつものおにぎり三つ。
何気ない味。でも、三つ目の味がどうしても誤魔化しがきかない。落ちる涙で握りを濡らしても、感じ取るのは儚いしょっぱさ。それでいて飾らない文体は、行く末の未来の空へと、連綿と続く想いの架け橋のように紡がれて、純粋に美しい。
食卓に並ぶいつもの味は、決して当たり前の味ではない。カタチのない味に、溢れる愛をどこまでも大切な想いで温めたい。
忘れかけていた感謝の念を持って、今日も箸を動かしたくなる良作。