雨の放課後。
人の良い高校二年生の〝本日 快晴〟は、やんわり押し付けられたクラス委員の仕事を片づけています。
そこにやってきたのは、いつも朗らかな同級生、雨野一 雫。
彼女は傘立てに置いていた傘を誰かに持って行かれたのだと言います。
この話を聞いた快晴は自分はもう一本手持ちがある旨を話し、雫へ傘を渡します。
心遣いと親切がつなぐ仄かな関わりの情景が広がります。
なんだか、これから快晴の未来は、明るく晴れることとなりそうです。
微かな雨音をBGMにして若いふたりが、ひとときのお喋りをするだけの一場面。
そして、誰の中にもしまわれている、在りし日の誰かを思い起こすような一場面。
そんな良い物語です。
どうぞ御覧ください。
静かながら、どこか温かくなる、そんな素敵な青春の一ページを見せてもらいました。
主人公は高校生の本日快晴(もとひ・かいせい)。ものすごく晴れ男な名前をしている彼だが、本当は雨が好き。
そんな彼がある日、不心得者に傘を盗まれて困っている女子生徒・雨野さんと対面する。
モッチーこと本日くんは、そんな彼女に対し……
「雨の降る放課後」というシチュエーションが、しっとりと静かな雰囲気を作り出していて、日常でありながらどこか特別な「非日常」の空気を醸し出してくれています。
モッチーと雨野さんの間には、これという恋愛感情はない。それでもモッチーは「お人好し」な性格で、雨野さんを放っておけない。
この辺りの絶妙な距離感が、独特の切なさを醸し出してくれます。
僕は雨が好きだから、と述懐するモッチー。
そんな彼にもたらされるものは……。
雨の日に傘を差すという行動。それは、必然的に「小さな世界」を作り出す。その小さな世界が、今後彼らに「何か」をもたらしてくれるかもしれない。
高校時代のとある放課後。いつの間にか、それは「特別な何かの思い出」に変わっているのかもしれません。