恋に夢見ぬ二人の未来やいかに? 奈良時代を舞台にした恋愛物語。
- ★★★ Excellent!!!
舞台は奈良時代。
ヒーロー(真比登)とヒロイン(佐久良売)は、男女関係において甘い夢など抱いておりません。
そんな二人、本当は縁談で結婚相手候補として出会うはずだったのですが、ややこしいことになってしまいます。
真比登は、自分が痘瘡持ちかつ教養がない(そして佐久良売は怖い女との噂がある)ことから、源という男に身代わりを頼んだのです。「身代わり縁談」で出会ったのですから、佐久良売は、真比登が元々の縁談相手であるとは知りません。それでも次第に惹かれあっていく二人。しかし、すれ違いと戦が二人の仲を引き裂こうとします……。
恋に夢を見ていないとはいえ、二人とも気弱な性格ではなく、強い意志を持っています。とくにヒロインは、周囲から「怖い」と言われてしまうような芯の強い女性。そんな彼女の心が徐々に解れ、恋する女性らしい可愛らしさや健気さを見せてくれた時、読者は悶えるはずです。
また、メインの二人だけでなく、脇を固めるキャラクター達もみんな人間らしくて魅力的!
「歴史もの? 難しそう〜」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、決してそんなことはありません。
いつの時代も根底は変わらない、人間ドラマとラブストーリーがここにあります。
軽やかに読めてかつ、時代特有の空気感を崩さない、絶妙な筆致も大変魅力的な本作。
ぜひ多くの方にお読みいただきたいです!