第12話その空間に男子1人は....③
「ついた〜!!」
「わぁ〜!色々な水着があるんだね!!僕あんま来たことなかったからこんなに種類があるなんて知らなかった!」
「ワー、ホントニツイチャッタ...」
楓にされるがままについていったことを後悔した。自分の目の前にはたくさんの女性ようの水着が並んでいる。とてもと言っていいほど自分が居ていい空間ではなかった気がした。ひらひらのついた水着や洋服に似ている水着など2人が言っているようにたくさんの種類の水着があった。
「凛せんぱーい!!早く色々な種類なの見てみましょ〜」
「わ、わかったから待って〜そんなにはしゃいでいると転ぶよ〜」
そう言って2人とも足早に店の奥へいってしまった。
(待って!置いていかれるのは本格的にまずい!!)
俺も急いで2人の後をついて行った。店の奥を行ってみると男性用の水着も多少あるようで男性客が少しばかりおり、心の中で一安心した。
(いやまあ、どっちにしろ女性コーナーのところに行くから安心仕切れないけどね!!)
「凛先輩こうゆうの似合いそうですね!!」
「ちょっと派手じゃないかな...」
「えー??絶対似合いますって!!」
「じゃあ、あとで試着してみようかな..」
俺が後からついていった後にはすでに2人とも水着を選んでおりとても会話の輪の中には入れなそうであった。楓がこちらの姿を確認すると早歩きで俺の方へと近づいてきた。
「お兄ちゃんやっときたね。遅いよ〜」
「いや、あれが遅いんじゃなくてお前が早すぎなだけな???」
「ま、そんなことは置いといて、この空間耐えれるの?」
「正直言ってめっちゃきつい」
「だよね〜お兄ちゃんの事だからそうだろうと思ったよ」
「やかましいわ」
すると2人の様子をじっとみていた佐藤さんが水着を持ってこちらに近づいているのが見えた。
「楓ちゃん〜こっちの水着とこっちの水着どっちの方がいいと思うかな?」
「ん〜私は両方ともいいと思いますけど、私は女性なので男性の意見の方がいいんじゃないですかね?」
「ちょ、お前何——」
俺が言いかけた途端、楓は俺の口を全力で手で抑え、クルリとターンをさせられた。
「ふぉはえあにしやある!!(お前何しやがる!!)」
「なあに、これはお兄ちゃんのセンスを試すちょっとした遊びだよ。気にすることはない!」
「くそが...」
またクルリとターンをして佐藤さんの方へ体を向けた。
「だ、大丈夫?何か話してたみたいだけど?...」
「大丈夫ですよ〜他愛もない話でしたので!」
「そ、そう?それならいいけど..じゃあ、どっちの水着がいいかな?小林くん」
(やっぱ、俺の方きますよね〜!!まあ、男性はこの場では俺しかいないもんね??)
そして、楓が余計なことを言ったせいで妙なプレッシャーがかかり、変な汗が出てきた気がする。
「んー、お、俺はそっちの黒色のやつが似合っていると思うかな??」
「やっぱり、こっちだよね!僕もおんなじ事考えてた!」
「じゃあ、凛先輩も水着選び終わった事ですし、試着しに行きましょ!!」
「そうだね!」
「あ、もちろんお兄ちゃんも来るんだよ??」
『え?』
▶︎◀︎
(僕あんま水着とか選んだ事ないからどんなのが可愛いとかわからないんだよね...)
佐藤凛という存在は学年の幅を超えるほど学校中で人気であったが、人気すぎるが故誰も遊びに誘おうとも誘えない状況ができており凛はあまり友達と遊びに行ったことがないのである。そして海やプールにも当然あまり行っていないのでどのような水着が女子高生の中で流行っているかも無知なのである。
(んーなかなか良さそうのがないな〜...楓ちゃんはすぐ決めちゃってなんか小林くんと話してるから店員さんにでも聞こうかな)
凛は選んでは自分の体に当てて鏡で確認して納得出来ずまた選び直しの繰り返しであった。そうして何回かそれを繰り返しているうちに凛の目に止まる水着があった。
(あ!これいいかも)
凛はそう思いその水着を手に取ってみて、鏡の前で合わせてみた。
(これ、僕的には結構好きだけど楓ちゃんや小林くんはどう思うかな..)
しばらく考えて凛はさっき試してみて少しだけいいと思った水着とこの水着を手に持って小林達の元へ行った。
「楓ちゃん〜こっちの水着とこっちの水着どっちの方がいいと思うかな?」
「ん〜私は両方ともいいと思いますけど、私は女性なので男性の意見の方がいいんじゃないですかね?」
(!!確かに男性の意見も大切だよね、ってことは...)
凛が小林に聞こうとした時何やら背中を向けて楓と話しているのが見えた。
しばらくすると話終わったのかクルリと回って目が合った
「だ、大丈夫?何か話してたみたいだけど?...」
「大丈夫ですよ〜他愛もない話でしたので!」
「そ、そう?それならいいけど..じゃあ、どっちの水着がいいかな?小林くん」
(水着を選んでもらうだけなのになぜか緊張するな...顔あかくなってないよね?)
一瞬のはずなのにすごく時間が長く感じる。多分緊張のせいであろう。
「んー、お、俺はそっちの黒色のやつが似合っていると思うかな??」
(!!)
「やっぱり、こっちだよね!僕もおんなじ事考えてた!」
(よかった〜これ選んでもらえて!やっぱり僕のセンスは合ってた!!)
「じゃあ、凛先輩も水着選び終わった事ですし、試着しに行きましょ!!」
「そうだね!」
「あ、もちろんお兄ちゃんも来るんだよ??」
『え?』
凛の中で何かが引っかかっていたが楓の突然の発言によりそれどころではなくなってしまった。
▶︎◀︎
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