第1話 髪サラサラ=可愛い?
朝のホームルームが終わり一時間目の数学が始まろうとしていたが、教科書を忘れている人に気づき隣の人に見してもらおうとしたが、あいにく女子で生まれてこの方女子と全然話したことがないので女子との耐性がなかった....
(はぁ〜、仕方がないけどジュンに借りるか〜)
ジュンというのは俺の小学校からの友達で、本名は
(てか、今日何回かあるけど俺は誰に説明してるんだ?)
そんなことを思いつつ時計を見ると授業が始まる2分前になっていたので急いで借りにいくことにし、ジュンのクラスは2-1で4組からは遠いので少し走ることにした。
もうすぐ授業が始まるということだったからか、廊下は人が少なく想像より早く着きそうだったが、2-1に行く道である廊下の角で人とぶつかってしまった。
「キャッ!」
ぶつかると同時に高い声が聞こえたので多分女子とぶつかってしまったのだろう。
(いってて、てかなんか今日漫画やアニメである展開多くない?)
そんなことを思いながらぶつかってしまった相手のことを心配した
「ごめん、少し急いでて周りが見えてなかった、怪我とかしてない?」
「僕は大丈夫だけど君は怪我してない?」
「ああ、俺も大丈夫だけど本当に怪我してない?平気?」
女の子に怪我をさせていたら色々の問題だったのでもう一度聞いてしまった。
「本当に怪我してないから安心して、そんなことより君は急いでたんでしょ?」
「あ、やばい急がなきゃ、なんかあったら2-4の教室にいるから言って!」
そう言い残して俺はジュンに教科書を借りに行った——
◇
「ふぅ〜やっとご飯だぜ!!」そう言いながら海斗は購買で買ってきたあんぱんなどの菓子パンと牛乳を俺の机に置いた。
「結構買ってるな」
「なんかどれも美味そうだったからつい...分けてやろうか?」
「弁当持ってきてるから平気だよ」
そう言ってカイトが買ってきたパンの方に目をやる
(なんか全体的に甘ったるそうだな…てか、あんぱんと牛乳って刑事かよ)
小馬鹿にしながらツッコミを入れつつ自分は弁当を出そうと鞄の中を漁った——
するとあることに気づく
(そうだ...俺は今日遅刻して弁当持ってきてないんだ)
今から購買に行っても売り切れてるだろうし遠いからめんどいし、かと言って何も食べないのは体力的もたない気がするので....
「海斗...俺にパンを分けてくれ..」
そう言って俺は数秒前まで(あんぱんと牛乳って刑事かよ)って小馬鹿and分けてもらうのを断っていたパンをねだった。
「はぁ!?お前平気って言ってたじゃん〜まさか弁当忘れたな」
「うっ...」
「図星かい!まぁいいけどこれで貸しいちな〜」
「ありがたき幸せです....」
海斗からパンを貰い、食べているとさっきの出来事を思い出したので海斗に話すことにした。
「俺さ、さっき漫画みたいなことが起きた」
「いきなり何を言ってるん?」
「廊下の角で人とぶつかったんだよ」
「あー漫画でよくあるやつね?どう?相手は可愛かった?」
「急いでたから顔とか見てないんだよね」
「あーそっか」そう言いながら海斗は購買で買った牛乳を飲み干した。
それから何も深く掘り下げられることなく「話変わるけどさ」と言われたので俺の漫画のような出来事は無かったことになってしまった。
「可愛い人が話に出なかったら興味ないんかい、んでどうした?」
「髪サラサラな人って可愛くね?」
「.....?」あまりにも突然だったのでつい黙ってしまい、そしてパンを食べていた手が気づけば氷で固まったかのように止まってしまっていた。
「おーいなんで固まるんだよ〜生きてる〜?」
そう言いながら海斗は俺の目の前で手を振った。
「生きてるって、あまりのキモさに驚いただけ」
「ひでぇ!いやでもさぁ?2-3組にいる加藤さんだって髪サラサラで可愛いじゃん?」
「その加藤さんを俺は知らないが」
「じゃあこの学年で一番可愛い佐藤さんは?」
「ごめん名前しか知らん」
「えーお前あの学年一可愛くてボーイッシュな佐藤さんを見たこともないというのか!!」
そう言いながら海斗は俺の机に身を乗り出した。
「いやまぁ、そうなんだよね...クラスも知らないし」
「クラスぐらいは知っとけよ〜2-2だよ」
「ちなみに佐藤さんってどんな感じ?」
「おお、蓮が佐藤さんのことを興味持ち出した!!」
なんでかわからないけど海斗は目を光らせている。
「まぁ、ある意味そうだから教えて」
「えっと、黒髪でね髪もそこまで長くなくスカートじゃなくてズボンらしいよ」
「へー、そーなんだ」
「反応薄!!」
「あんま想像できんからな」
「なるほどね」
そんな佐藤さんと髪が綺麗な人の話をしているうちに今朝あった男の子を思い出した
(そういえば朝に会ったあの子も髪サラサラだったな男の子にしてはやるな)
と自分の心の中で褒めていたのと同時に反省文を書かなくてはいけないことを思い出して放課後が来ないことを願った。
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