第2話 え?...男の子ではないの?

 5月の午後は何て心地がいいんだろう。暑すぎず寒すぎず、昼休み特にやるのことはない俺はとりあえず昼寝か大好きなゲームをするかであった。


(しっかしなんで5月ってこんなに眠くなるだろう?)


 そう思いながらあと昼休みが何分あるかを確認するために前に置いてある時計を眺めた


(あと20分くらいか...)


 と心の中で思いながら眠くて伏せていた体を起こし、伸びをしながら自分以外の人が何をしているか気になったのであたりを見まわした。

 仲の良さそうな女子のグループで話しているところもあれば男子で固まっていかにも高校生らしい会話をしているところもある。


(俺もなんかするか〜...)


 そう思いながら自分が好きなゲームのガチャの更新日であったことに気づき、急いでスマホをポッケから出そうとした時、白い何かが落ちたのでそれを拾った。


(なんだこれ?絆創膏のゴミ?)


 なぜ、自分のポッケから絆創膏のゴミが出てきたのか分からずしばらく考えていたが朝のことを思い出した


(あ、朝転んでいた男の子にあげたんじゃん)


 自己解決したはいいもののもう一つ気になったことがあって、それはさっきぶつかった子だ。

 さっきは急いでいてちゃんと謝れていなかった気がするしもう一度会って謝った方がいいのではないかと蓮の心の中の天使が言った。一方、悪魔は時間がないから後ででいいんじゃないかと囁きかけた


(どっちも結局は謝るんかい)


 そうゆうツッコミを心の中にいれ、放課後だと見つけられないかもだし、尚且つ自分には反省文が待っていたので昼休み中に謝ることにした。

 とりあえず2-1と2-2の教室がぶつかったあたりに近かったのでそこら辺から探すことにした——




(とりあえず着いたはいいもののどうするべきか....)


 顔を見ていないし顔を見てないんじゃ髪型もわかるわけがない、唯一知っているのはなぜか聞いたことのある声だったことだ。

 なんとなく2-1の教室を覗いてみたがわかるはずもなく、しばらく覗いているとジュンが話しかけてきた。


「どうした蓮?また忘れもんでもあった?」

「いや、そうゆうわけじゃないけど」

「じゃあ何してんの?」

「...人探し?」

「え?」


ジュンはポカンとしたような顔をしている。


「いやまあ、少し用があるから探してるだけだよ」

「あ、そっかわかったわ」

「なにが?」

「お前運命の人でも探してるんだろ〜」

「違うし、俺に運命の人がいると思うか?」


「いないな」ジュンは済ましたような顔をして言っている。


「そこはいるって言えよ」

「いや本当のことだったから.....」

「泣くぞ!?いいのか?」

「やめてめんどい」

「ジュンくん冷た.....」


 心が少し傷ついたところで1組には居なそうだったので2組を探すことにしたが2組にも居なかったので諦めて帰ろうとしたその時——


「あー!」


 突然聞いたことある声が後ろからしたので、振り返ってみるとそこにはみたことのある子がいた


「君は...朝あった子?」

「そうだねあったね」

「朝も?」

「だってさっきもあったじゃん」

「さっき?....」


どうしても思い出せず俺は地面を眺めながら考えていた。


「ほらなんか君急いでたじゃん」

「あーー!」


「思い出した?」そう言いながらこちらの顔を覗き込んできた。


「思い出したよ!さっきぶつかったちゃった子か、さっきはごめん!」

「いや、さっきも言ったけどケガしてないからへーき」

「てか、朝はありがとうね」

「いやいいけど、ケガは平気そう?」

「おかげさまで平気だけど制服がね...」


 そう言われたので見てみてると少し破れていてそこに少し血がついているのか見えた。


「絆創膏のお礼がしたいんだけどなんかない?」

「いやいや、別に平気だよ」

「僕がお礼したいって思っているだけだから遠慮しないで」

「じゃあ....俺と友達になってください?」


 そう言うとその子は笑い出した


「君面白いね、そこはなんか奢って〜とかでしょ」

「え。そーなのか」

「うん、そうだよ」

「まぁ友達にもなるけどそれじゃお礼じゃない気がするから僕と出かけようよ!」

「え、それはいいけどいつ行くんだ?」

「今週の土曜はどうかな?」

「いいよ空いてる」

「てか、名前言ってなかったね。僕の名前は佐藤凛よろしくね」

「ああ確かに言ってなかったな、俺の名前は小林蓮よろしく」

「メールも交換しとこうよ!」

「あ、確かに」


 そう言われると自分のスマホをポッケから——


(ん?佐藤凛って言った?ん?)


「もう一回名前聞いていい?」

「あ、うんいいよ?僕の名前は佐藤凛」


(どうやら聞き間違いではないようだ、学年一の佐藤凛らしい)


え?てことは——


「女の子だったの!?」

「え?今気づいたの?」

「え、うんだって髪とか制服とか胸板だって...」

「胸は!僕だって牛乳とか飲んでるけど仕方がないんだ!!」


そう言いながら佐藤さんは顔を少し赤くしたのと同時に自分の心の中にとてつもない罪悪感が生まれた。


「あ、ごめんなさい土下座でもしましょうか?」

「いやまあ、悪気があったわけじゃなさそうだから許すけど...」


そう言われたので彼女の顔をもう一度みた


(確かに言われるとちゃんと女の子だし可愛いだけじゃなくて少しかっこいい顔をしているな...)


そう思いながら顔だけでなく、黒く綺麗な髪や顔からは分からないような少し細長い手や指が見え、非の打ち所がないと思った。


「まぁ、とりあえず土曜どこか遊びに出かけよう!ちゃんと空けておくんだよ!」

「はい、わかりました..」

そう言って佐藤さんとメールを交換し終わり、自分のクラスに戻り席に座った。


(ん?俺は土曜学年一の美少女と遊ぶってことか!?)


そう心の中で状況を整理していると、授業は気づけば始まり、気づけば終わっていて放課後になってしまっていた——









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