第9話なんかいるんだけど....②

「なんでここにお前いるんだよ!」

「ぐ、偶然だよ!タマタマカイモノニキテタダケダヨ〜」


そう言いながら目線を合わせずにできていない口笛を吹いていた。


「口笛できてないし、誤魔化せないぞ〜...ってかお前この前ストーカーしに行くねって言ってたな!?本当に来やがった....」

「来ちゃった⭐︎」

「来ちゃった⭐︎じゃねえよ!普通に怖かったんだからな!!」

「ごめんって〜」


やれやれと思いながら俺は佐藤さんがいることを思い出した。まさか本当に楓がストーカーするなんて思っておらずそっちに気がいってしまっていた。


「ああ、ごめん佐藤さん蚊帳の外みたいにしちゃって...」

「全然平気だけどそんなことより妹さん可愛いね!」

「え、あ、ありがとうございましゅ!」


楓は自分が可愛いなんて言われると思っておらず心の準備ができて無かったのかかなり動揺していた。


(ってか佐藤さん?そんなことよりって言ってたけど俺らストーカーされてたんだよ?こいつでよかったけど)


俺は心の中でツッコミを入れた。だがそんなツッコミは誰にも聞こえるはずがなく1人芝居をしているだけだった。


「ってことなんでだけどどうかな小林くん?」

「え、あ?どうしたの??」

「も〜聞いてなかったの〜?」

「ご、ごめん1人で芝居してた」

「.....そ、そっか?とりあえず話戻すけどこのまま楓ちゃん家に返すのは可哀想だし一緒に映画見に行くのはどうかな??」

「俺は別にいいけど...」

「じゃあ、けってーい!!一緒に映画見にいこ〜」


俺たちをおいて映画館にウキウキで佐藤さんは行ってしまい、流石においてかれるとまずいので俺と楓は歩きながら映画館に向かった。


「ってことで!やって参りました!私とお兄ちゃんのイチャラブターイム」


楓はガッツポーズをし、誰もいない方を見ながらそう言った。


「イチャラブタイム始めんな公共の場だぞ」

「えー?別に問題ないじゃん?」

「ありまくりだわ、あとどこ見ながら言ってんねん」

「これを読んでる人に向けて言った」

「おい、メタいこと言うな、ってかこれ誰かに見られてんの?だとしたら俺めっちゃ恥ずかしいことしかしてないんだけど??」

「まぁ、あくまで私の芝居だから安心してお兄ちゃん、あと誰もお兄ちゃんなんか見てないから」

「それはそれで悲しいよ?まぁ、そんなことはどうでもいいけど早く映画館に行こか」


そう言って俺は少し早歩きをした。それに合わせて楓も早歩きをし、目的地まで向かった。



映画館に着くと佐藤さんの姿が見え、こちらにの姿に気づくとこっちの方に走ってきた。


「ふたりともおそーい!もうポップコーン買っちゃったんだからね??」

「先買っててよかったんだけど、佐藤さんご飯は?」

「あっ....」


続きを言わなくても次言う言葉が大体予想でき、これは完全に忘れてたなと察しがついた。


「完全に忘れてたよね...」

「まぁ、そんな気がしたよね。」

「凛先輩おっちょこちょい〜でもそんなところが可愛い〜」


佐藤さんにメロメロな楓はとりあえず置いといて映画館に貼ってある方を見た。


「まぁ、ポップコーンやドリンクもあるしご飯は映画見た後ってことで」

「うん!そうしよう!じゃあ私、ポップコーン以外も買ってくるね。2人は何頼む?」

「あ、じゃあ私ついてく〜お兄ちゃんは映画のチケット買っといてね!多分コーラ買っとけはいいよね?」

「おう、頼んだ!ポップコーンはセンスでよろしく〜」

「もう〜何年の付き合いだと思ってんのよ〜私に任せて!」


そう言いながら佐藤さんと楓は飲み物などを買いに行った。そして俺は映画のチケットを買うために2人とは真反対の券売機に行った。



「いや〜僕久々に映画館来たけど楽しみだな〜」

「私の友達が感動系って聞いたんだけどどんな感じかな」

「あ、俺の友達が泣けるって言ってたよ」

「じゃあ、期待できるね」


話していると部屋がだんだん暗くなり、スクリーンには映画◯棒の映像が流れ始めた。(なんやかんやこれ見ちゃうよね!)

映像が流れ終わりいよいよ本編が流れようとしていた。そして、俺はあまりにもお腹が空き、ポップコーンを口に放り込んだが——


「っ〜〜!!ゴホッ!ゴホッ!!」


痛い舌が焼けるように痛い。そのポップコーンは猛烈に辛く口に入れた瞬間痛みが走りその後に咳が止まらなくなった。俺は急いでコーラで流し込んだが痛さがまだ少し残っている。


『おい!楓!』

『な〜に?』

『な〜に?じゃねえよ!ポップコーン何味にした!?』

『地獄の辛いもん寄せ集めって味』

『お前、お兄ちゃん殺す気か?「何年の付き合いだと思ってんのよ〜」とか言ってたくせに全然じゃねえか!』

『そうゆうのはこうなるのがオチでしょ?』

『そうゆうのはテレビだけにしてくれ...』

『ま、許して』


そう言いながら楓はジト目でこちらを見てきたが俺はそんなことを気にせず楓の口にこのポップコーンを詰め込んだ。そして俺は隣で無言の叫びをしている人を無視して映画に集中した——



「......」

「......」

「......」

「感動したな...」

「ね!すごくいい映画だったよ〜これてよかったね!」 

「私も感動したけど誰かさんのせいで最初内容入ってこなかった」

「それはお前が悪い」

「とりあえずご飯行こ!僕もうお腹ぺこぺこ〜あと、そこで映画の感想話し合おうよ!!!」


佐藤さんがそう言うと俺と楓は賛成し、くる前に見つけていたパスタのお店に行くことにした——



















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