第8話 なんかいるんだけど...①
痴漢されていた女の子はまさかの学年1の美少女である佐藤さんであった。
「佐藤さん!もう安心して!!犯人は取り押さえられてるから!」
「小林くん?...どうしてここに?...あとその傷...」
「僕たちおんなじ電車に乗ってたみたい、あと、この傷は痴漢してた犯人に殴られたんだけどそこまで痛くないから平気だよ...ってそれより佐藤さんが——」
「うん、怖かったけど小林くんのおかげでなんとか平気だよ〜ってこんなに泣いてたら平気に見えないか....」
そう言われて俺は佐藤さんの方へ顔を向けることが出来なかった、
「佐藤さんとりあえず一旦駅降りるけどいい?」
「うん..わかった」
とりあえず駅に降りたがやらないきゃいけないことがいくつかあった。犯人を取り押さえてくれている人たちに感謝をしなきゃだし、駅員さんに電車内であったことを言わなくてはいけなかった。
しかし、自分にできることは駅員を探して電車内であったことを言うくらいだったので、駅員を探しに行こうとしたら——
「....待って」
「えっ?...」
探しに行こうとしてる自分を腕は佐藤さんは掴んできた。だが、その手は震えていて、まださっきのが怖かったのが伝わる。
「私を一人にしないで....」
「....わかった、俺はここにいるから安心して」
「ありがとうね小林くん」
佐藤さんは泣きながらもにっこりと笑いながら俺の方を向いて感謝した。そしてだんだんと自分の顔が赤くなっていくのを感じたので、俺は急いで顔を背けた。
「どうしたの?小林くん?」
「い、いやなんでもないよ??」
(まじか〜学年一の美少女様の笑顔可愛すぎるやろ!正直ナメてたわ...)
そんなことを思いながらとりあえず周りの人たちに駅員を呼んでもらい事情を話した。そして、俺は犯人を取り押さえくれている人たちに深々と頭を下げた。
「いいってことよ!あんちゃん!困った時はお互い様だろ!!」
「そうですよ〜困った時は一人で解決するんではなく周りの大人の人とかにも相談してからにしなさい〜」
「は、はい!これはそうさせていただきます!」
「それにしても残念だったなあんちゃん、せっかくのデートがこんな風に邪魔されて」
「って!デートじゃないですよ!」
他の人からもデートって言われると思ってなかった俺はデートということを意識してしまい、治っていたはずの顔がまた赤くなるのを感じた。
(この話佐藤さんに聞かれてないよね?)
俺はそっと後ろを振り返る。すると、泣き止んでいて顔を少し赤らめた佐藤さんの姿が見えた。
顔を赤らめていても佐藤さんは可愛らしく学年一の美少女と言われるのも納得できた。
(Oh...そっちも顔赤くなってんのかーい)
そうツッコミを入れつつ俺は佐藤さんに聞こうと思ってたことを思い出した。
「佐藤さん、今日はこんなことになっちゃったから今日は帰って、遊ぶのは他の日にする?それとも——」
「今日にする!こんなことになっちゃったけど小林くんがこんなことあったのを忘れさせてくれるくらい面白いことしてくれるだろうから今日がいい!!」
「えっそれはちょっとハードルが...」
「頼んだよ!小林くん!」
とりあえず元気がだんだん出てきたみたいなのでひとまず安心し、次の電車が来るのを待った——
◇
難なく電車に乗ることができた俺と佐藤さんは電車に揺られながら目的地に着くことができた。
「ついた〜!いや〜疲れたね」
「もうお昼になっちゃったね」
「じゃあ、ショッピングモールとかでご飯食べよっか!」
そうゆうと佐藤さんは疲れたと言いながら元気にショッピングモールへと向かっていったが俺は完全に疲れ果てて重くなった足を動かしながら佐藤さんについていった。
「でっかーい!色々な店があるね!ご飯のあと服とか見にいっていい?小林くん!」
「全然いいけど、お昼何食べる?」
「ん〜どーしよっかな〜」
「パスタとかどう?」
「いいね!けってーい」
食べたい料理が決まったのでとりあえず店を探すことにした。休日ということでどこも混んでおり並ぶのに時間がかかりそうであった。
(いや〜やっぱ結構人いるな〜...うわ、いつも空いてるあの店も混んでるじゃん!)
そう思いながら俺は少し早歩きをし、店を探した。
(.....やっぱりストーカーされてね?早歩きした瞬間あっちもしてきたよ?そして何あの定番の服装。黒いサングラスに黒い帽子おまけにズボンとかも暗い色だし....ってかもしかして...)
「佐藤さんちょっとごめん!」
そう言って俺は佐藤さんの腕を掴み角を曲がり、ストーカーが来るかどうかを確かめた。
「わわ、いきなりどうしたの??」
「ちょっと確かめたいことがあって...」
予想通りストーカーも曲がってきたので振り返ってストーカーに近づいた。
「お前楓だろ?」
「楓?小林くん楓って誰?」
「ああ、俺の妹だよ」
「え!?小林くん妹いたの!?」
佐藤さんは興味津々とでも書いてそうな勢いで聞いてきた。
「うん、そうだよ俺と一歳差」
そう答えながら俺は楓の方に視線を向ける。
「......」
「楓〜黙るな〜ストーカーごっこはおしまい〜」
「バレてたか〜いつから気づいてた???」
楓は帽子とサングラスを取りながら言った。
「さっき」
「マジですか...」
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