第6話 ストーカーじゃん....
「んあ.....朝か...」
そう一人で言いながら蓮はまだ寝たがっている体を無理やり起こし、ベットの横に置いてある時計の方へと視線を向けた。
「7時30分か..まだ時間あるな....」
そう言って油断した蓮は再び眠りそうになったが、眠る寸前に今日は遅刻してはいけない土曜日であったことに気づいたので目をぱっちり開けた。
(あー眠いけど今日は遅刻したら男としてやばいからな....)
そう思いながらベットから立ちあがろうとするとリビングの方からドタドタと足音が近づいてきた。
「へっーい!!お兄ちゃん起きてるかーい!!」
「起きてるわ、てかタックルして入ってくるな」
そう返すと妹はこの世界が終わるみたいな顔をしてこちらを見てきた。
「お兄ちゃんが.....起きてる...だと?」
「失礼な!俺だってちゃんと早起きできるわ!」
「またまた〜そんな冗談を〜あ、デートだからか♡」
「デートじゃないし、あとハートつけんな」
楓は俺の言葉に聞く耳を持たず、俺に向かって今週2回目のヘッドスライディングをしてきた。
「お兄ちゃんの方へスライディング〜」
「うわ!」
「あっ、やばい」
ゴン!と鈍い音が俺の頭から部屋に響き渡った。
「いってぇ!流石に勢いつけすぎだろ!!」
「流石にごめん〜、でも今日一日お兄ちゃんが他の女の人とずっといると思うと居ても立っても居られなくて....ついうっかり..」
楓は頭に手を置きテヘペロという顔をしながら顔を上げた。
「ほらこんな可愛い妹が許しを懇願しているんだから流石に許してくれるよね??」
「懇願してなかったけどな!あと自分で自分のこと可愛いって言うなや」
「いいじゃん別に〜」
そう言いながらムッス〜という感じでほっぺを膨らましていた。そして何か閃いたような顔をしてこちらを見てきた。
「私が言っちゃダメならお兄ちゃんが言えばいいんじゃん!!私天才では!?」
「わーすごーいてんさいだー」
茶番に付き合ってもらえなかったのが不満だったのか楓は目に光を無くしながら言った。
「あ、でもお兄ちゃん女子に可愛いとか言えない人だったね...てかまず話せないもんねごめん...」
「はい〜?話せるし、言えますし???」
「じゃあ言ってご覧〜」
俺は二、三回咳払いをして言った。
「楓...今日も可愛いね」
「お兄ちゃん.....」
「楓......」
楓の手がだんだんと俺のお腹辺りから腰辺りに回っていく。まるで時間がゆっくりになったみたいでありイケナイお店に行っている気分であった。(行ったことないけどね!?)
「ねえお兄ちゃん....」
「なんだ妹よ...」
「この茶番いつ終わらす?」
「今すぐ」
「なかなかにキモい茶番だったね...」
「うん...」
いくらシスコンだからと言っても自分から見てもキモく、俺はあまりの自分のキモさに吐きかけていて、手で口を押さえていけなければいけないほどであった。そして妹もおんなじような状況であった。
「てか妹よ」
「なんだい?」
「そろそろ動かないと時間が...」
そう、こんなやりとりをしているうちに15分たって7時45分になっている
「あ、それはごめんデートがあるんだよね?」
「デートじゃない!」
上目遣いで何か悪そうな顔をして楓は俺の上から降りた。
「帰ってきたら『今を生きる君に送る花言葉』の感想教えてね〜」
「なんでそれを知ってる!?」
「お兄ちゃんの血液型なども沢山知ってるよ〜」
「それは家族だから知っててもおかしくないけど映画の名前はなんでだ?」
「お兄ちゃんのスマホのパスワード当てて会話画面もう一回読んだ」
「パスワード十桁だよ?ストーカーかなんかじゃないと無理よ?」
そういうと妹は都合の悪そうな顔をしながらリビングに向かった。
「おい??逃げるな???」
「朝ごはんなに〜?お兄ちゃん〜」
「お前が嫌いなトマトが入ったやつで」
「うわ〜最低〜、そんなことするなら今日のデート影とかに隠れながら尾行してやる」
「それは完全にストーカーじゃん....」
妹はリビングに向かい、俺は顔を洗いたかったので洗面所へ向かった。そして顔を洗った後時計を確認すると7時55分になっていたので俺は急いで朝ごはんの支度をした。
「楓〜洗濯物干しといてくれる?」
「いいよ〜」
「後ご飯作っといたから食べろよ〜」
「わかった〜」
楓は机でご飯を食べていたが俺は急いでいたのでとりあえず着替えながらご飯を食べることにした。
(てか....基本的に俺座って食べてなくね?)
行儀悪いな...とか思っているうちに着替え終わった。そして着替えが終わるのと同時にごはんを食べ終わり、準備万端の状態で急いで佐藤さんとの待ち合わせの場所へと向かった——
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます