第13話これは無料で見ちゃっていいやつですか??①

『え?...』


佐藤さんと俺の声が被ったのが聞こえる。いや、この反応が当たり前なんだ、目の前でニヤニヤしながら楽しそうにしているやつが頭おかしいだけなんだ、そう自分に言い聞かせる。


「ちょっと楓ちゃん!?小林くんもついてくるの?」

「そりゃあもちろん!、私の水着姿を確かめてもらいたいので」

「そ、そっか!楓ちゃんのか」


(いや、こいつがそんな単純なわけない。絶対何か企んでるぞ)


何か嫌な予感がし、隙を伺いつつ身構えることにした。


「実際に着てみないと思ってた感じと違ったり、自分では良くても他の人から見たらあんまだったりするかもしれないので...」

「確かにそうだね.....」

「そうですよ!そしたら——」

「...私も小林くんに見てもらおうかな?」

『え?』


次は俺と楓が同時にハモった。流石の楓もこうなることは予想外で合ったのであろう。


「あ、あれ?僕なんか変なこと言っちゃった??」


(いやいやちょっと待ってくれ!今のは圧倒的に楓が仕掛けると思うやつじゃん!)


2人とも不意を突かれた顔をしていたがひと足先に楓が口を開いた。


「いえいえ!私も今丁度言おうと思ってたとこなんです!!」

「それなら良かったけど..」

「らしいけどお兄ちゃん?もちろんくるよね??」


そう言っている楓の顔は計画が上手くいって満足そうな満面の笑みであった。


(楓さん〜顔に出てますよ〜)


と、言いたいところであったがここで言っても多分意味がないのでスルーして大人しく

「はい...」

と言うことしかできなかった。



試着室の前にて


「じゃあちょっと私先に着替えてくるね〜」

「じゃあ、僕たち待ってるね」

「さて、俺はどっか行く——」

「どこ行くの??お兄ちゃん?」


安心して逃げられると思ったが楓に思いっきり腕を掴まれてしまった。軽く掴まれただけではない、ガッチリとだ。


「じょ、冗談だって、逃げないって」

「だよね〜??」

「そんなん言ってないで、早よ着替えてこいや」

「え、そんなに私の水着姿みたいの?」

「ちげえよ!早く終わらしてこの場違いな空間から逃げ出したいんだよ!!」

「ちぇっ!つまんなーい」

「ちぇっ、って言う人本当にいたんだ」


楓は大人しく試着室に戻り、俺も大人しく待つことにした。


(てか待って?俺佐藤さんと今2人きりだけど何話せばいいんだ??)


『.....』


しばらく沈黙が続いた、そして最初に口を開いたのは——


「今日佐藤さんは俺なんかと遊んで楽しかった?」

「楽しかったけどなんで??」

「いや、楽しかったならいいんだけどさ、俺となんかで良かったのかなって」


そう言うと佐藤さんは何かあったかのように固まって、下を向いた。


「さ、佐藤さん?」

「なんでそんなこと言うのよ。僕はと遊びに行きたかったんだよ?」


佐藤さんは少し怒っているような言い方であった。


(俺なんか言っちゃったかな...)


俺が考えているうちに続けて佐藤さんは言った。


「僕は今日君と遊べて本当に楽しかったよ!また今度も遊びたいと思っているし...」


なんだか顔が熱くなっていくのを感じた。


「そこまで言ってもらえて嬉しいよ佐藤さん、ありがとう」


俺がそう言うと佐藤さんは顔をあげた。そして、目が少し潤っていたのか見えた。俺の中で何かもやがかかるような気持ちになった。


「小林くんはどうだったの?」

「そりゃあ楽しかったよ」

「じゃあ、また今度遊びに行こうね!」


そう言った佐藤さんの顔は笑顔で輝いていた。


「もちろん!」

「あのー、そろそろ出てもいいですかね」


中で楓が着替えていることを完全に忘れていた。そして今の会話を聞かれていたことも気がついた。これは帰ったらなんかいじられる気がする。


「あ、ごめん。完全に忘れてた」

「まぁ、なんかいい感じになってたからいいけど」

「いいのかよ」

「とりあえず私の水着姿をみろ!!」


そう言って楓は試着室のカーテンを外しそうな勢いで思いっきり開けた。


「じゃーん!どう?似合ってる?」

「まあ、似合ってるよ」

「とか言って〜ほんとは襲いたいくらい可愛いと思ってるんでしょ??」

「思ってないわ!でも、可愛いと思うよ」

「お兄ちゃん....」

「今はそれやらないて、てか、できないって」


その水着は楓にとても似合っていて、今時の女の子らしいひらひらがついていた水着であった。


(いや、女の子らしいとか思っちゃダメだな。みんなも思っちゃダメだよ!)


と一週間ぶりくらいに誰かに注意喚起をしといた。


「楓ちゃん似合っているよ〜可愛い!」

「ありがとうございます!!」

「写真撮ってもいいかな?」

「もちろんです!!目線入りますか?」

「コミケかよ」


佐藤さんはなんのことだかわからず困惑していたが理解しなくてもいいことを伝えた。そして、佐藤さんは写真を撮っていた。


「あとで凛先輩の水着姿撮ってもいいですか?」

「もちろんいいよ!」

「じゃあ私一回着替えてくるね」

「じゃあ僕は隣で着替えてこようかな」

「俺は....大人しく待ってるか」


特にやることがなかったので大人しく2人が着替え終わるの待つことにした——










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ボーイッシュ系女子を助けたら学年一の美少女だった件 夜桜さき @yozakurasaki

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