ジーンの花

カルロスたち村の男が水路をひきに旅立ったのは、十八年前のことだった。
「必ず帰って来る」
その約束を携え、恋人ジョアンのもとへ戻ってきたカルロス。しかし、ジョアンの腕には赤ん坊がいた――。

ジーンの花という、水なき村の救いの花を育て、カルロスを待ち続けたジョアン。
同志の女たちが皆、女であることに身を任せていく中、カルロスを待つと決めたはずだが――

「私の幸福はどこにあるのか」
女として、人間として、もがく女性のSFファンタジー短編です。