久遠の朱は理想を願う　　

　ある日霊華は熊に襲われていた異邦人の少年、ジークハルト・アルトアイゼンを保護する。名前が長いため霊華はハルト君と呼び、怪我が治るまで面倒をみることになった。
　薬を処置してジークハルトは眠り、その次の日に目を覚ましたところで彼は微かに耳に届く話し声を聞く。なんだろうと好奇心に負けて声がする方に向かうと、そこにはイズモ大陸の隣にある巨大大国にして統一帝国である爛花大陸統一帝国の使者が、霊華に頭を下げて皇帝陛下のために不老不死の法を授けて欲しいと懇願していた。
　かつて国を襲ったことと、仙人になる前に死んでしまうから不可能だと突っぱねるがそれでも食い下がった使者は、国の四方にそれぞれ四万、合計十二万の兵士を待ち構えさせている。命令一つで襲撃させると脅しをかけるが、六百年にわたって穂守の国を守…続きを読む