最新話の70話まで読んだ時点のレビューになります。
この小説、流れる雰囲気、特に前半の雰囲気はファンタジー寄りなんですが、物語の根幹を貫いているものはSFです。ただ、その芯が読むにつれドンドン太くなっていく感じの小説なので、ファンタジーだと思って読み始めて、ちょっと違うなと思う人や、SFと書いてあるから読み始めたらファンタジーだと思って、1話で読まなくなるみたいな人がいるかもしれない気がします。
ただ、物語としては面白いですし、物語の仕掛けは紛れもなくSF、というか、ハードSFですし、SF好きは文句を言わずに最後まで読むべしw なんて思ってしまう小説です。
また、キャラの造形もしっかりしていて、キャラに魅力もあるのもこのSFの魅力と言えます。よろしければ、一読してみてください!
日々に追われ、疲れ果てている29歳の女性、新井若葉。
そんな彼女が不運な事故により、近世ヨーロッパに似た世界へと17歳のアリーシャ・ヴェーバーという女性として新たな人生を始めていく物語。
そう、自分が過ごしていた便利なものが無い世界。
石鹸を手に入れるのすら一苦労する世界で、彼女は前世での知識を活用し今度こそイージーな人生を過ごす。
そんなチートなお話だと、当初は思っておりました。
……おそらくは彼女自身も。
そんな彼女の前に突如襲い来る『災厄』。
それは若葉として生きていた頃に目にするような構造の存在だった。
次々と明らかになる展開とそれに対し時に若葉として、時にアリーシャとして。
『彼女』は怖れ、傷つき、涙を流しながらも前へと進んでいきます。
その踏み出した先にあるものは?
そしてその先に、あるいは共にある存在とは?
彼女の進む先、そしてその答えを是非皆様にも知っていただきたく思います。
まずデカい拍手を贈りたい──
タダで読ませてくれてありがとう!!!!!!!!
こちらの大傑作、ジャンルはなにかと言いますと
SF、ミステリー、歴史、異世界転生、異形バトル、宮廷ロマンス、成り上がり出世譚
……の面白いところ全部乗せ!!
さながらラーメンの上にカレーと麻婆豆腐がダブル盛り、トッピングにカツと餃子と唐揚げをON。
これはすごいのが出てきたなと眺めているところに「シェフからです」とステーキが追加され、さらに「あちらのお客様からです」と店中の客からローストビーフやハンバーグが乗っけられた、そんな一品です。
しかしだからといって「何がメインなん?」と散らかることは不思議と一切なく、読者は作者の手によって完璧に計算された一食を圧倒されながら味わい、気づけば完食しています。
でも腹ははち切れそうなので、レビューを書くのに半日必要でした。
この傑作を称える語彙が残念ながらないので、地道に一個ずつ名所をお伝えしていきますね…
まず描写が素晴らしい。
この舞台、近世欧風異世界( )の描写に留まらず、社会階層の原因と結果、物理学に踏み込んだ発明品の仕組み、人物の細やかな心情などさまざまな次元を縦横無尽に描いているのですが、いずれもとてもわかりやすくて精密で丁寧で、本当にある世界としてとんでもないリアリティを持って立ち現れてきます。
散りばめられた小ネタが面白くて、雑学目当てで読み始めたわけじゃないのに、もっとくれ! もっとだ! となってました。
そして読んだら一目瞭然ですが、キャラクターがいい。
一人残らず推せる。
みんな初登場はクセがあってつい「好ましくない人フォルダ」に分類分けしそうな第一印象しているのですが、主人公と対話してみると、その人にとって正当な理由のある振る舞いだったことを読者に教えてもらえるんですね。
これはもう、作者先生がそういった優しい眼差しで世界を見ていて、横暴や理不尽に対して拒絶ではなく、常に理解のカードを切ってきたからだと思います。人徳です。積み上げてきた人生経験がボディーブローしてきます。
ヒロインである若葉ちゃんアリーシャちゃん、拗らせ青少年二大巨頭のリヒャルト様エックハルト様はもちろん、ヴィルヘルミーナ様もツィツェーリア様もヨハンくんも推せますし、何なら終盤に出てきた議会のオジサンたちも推せる自信あります。
今のところはやな感じの有象無象ですが、どうせ彼らも味のある人生を背負っているんでしょう…? 先生が焦点を当てて描く人間で、推せなかった人なんていないんだから!
とんでもないてんこもりの一品だとお伝えしました。
それでもメインが埋もれることはないと自信満々に言えるのは、この作品が描いている軸が、闇の中であがく人々の生き様だからです。それも特大の愛をこめて。
正解のわからない世界で、何気なく選択した一手が、あとから考えると取り返しのつかないものだったりする。
それでも選択して生きていくしかない。
舞台はヨーロッパ異世界(…かどうかは絶叫と共にお確かめください──)でも、そこにあるのは現実の人間の生きる姿です。
選択を間違える。挫ける。
それでもまた歩き出し、果敢にサイコロを振る。
道のない荒野に立つその姿こそが眩しいのだと、全力で肯定してくれる作品です。
個人的に『物語世界に人間が入り込む系異世界転生』への愛を拗らせた結果、アンチ異世界転生作品は見つけるたび読んできましたが、こちらは私がこれまで目にした中でもっとも鮮やかでもっとも冴えて、人間への信頼と愛に溢れているカウンターパンチでした。
損はさせません。全話、爆裂面白い。
そのうち書籍化しますので、今読んでおくとWeb小説時代から目をつけてた古参としてにわかにマウント取れます👍
新井若葉(29)は、中世末ヨーロッパ的世界で暮らすアリーシャ・ヴェーバー(17)に転生した……と勘違いしていた、というのが物語の冒頭です。
あらすじを読んで、転生やお決まりをメタ的に扱ったものだろうか、などと想像したら誤解なので、ぜひ読んでみて衝撃を味わいください。
読むぞーと気合をこめなくても頭に入ってくる分かりやすさと毎回の引き、誰が読んでも面白い。
読み心地はライトな一方で、地の文から人物の心が、声に発する台詞の重みが、そして存在が立ち上ってくる感があります。重厚がライトの上に成り立っている、信じがたいけども。
毎日更新中。
ぜひ皆さまにおすすめします。
ジャンルはSFですが、SFは毎度忘れた頃にやってきます。最初はぜひ忘れていてください(笑)
まず主人公に関する作者様の仕掛けがすごい。妙技です。これに関してはここには書きません。ぜひ実際に読んで痺れていただきたい。
北欧風の国の設定、歴史や機械。出てくるものすべてに造詣が深く、1000ピース以上あるパズルをリズミカルにはめていくような文体で書かれ、その面白さ・読みやすさは文字数の体感がバグってしまうほど。
「今日3000文字? 1500くらいじゃなかった? 足りない……モットホシイ……」
キャラクター造形にも深みがあり、それぞれの心理・思考に感情移入しては切なくなったり。全員一癖も二癖もあって一筋縄ではいかないところもまた可愛い。そう、みんな一生懸命生きていてすごく可愛い。
ストーリーも並大抵ではありません。
ぜひより多くの方の目に留まってほしい傑作です!
(闇を抱えたイケメンが好きな方ー! ここに好い人いますよー!)
最新話の5章4話まで一気読みしました。
いやぁ、面白かったです。
29歳の歴女が17歳のメイドに転生。「ほぉほぉ、典型的な異世界転生モノだな」と思いながら読み始めた(聞き始めた)のですが……全然違いました。
よくある公爵令嬢への転生でもなければ、チート能力も、魔法もない世界。前世の記憶と歴女としての知識を武器に主人公(若葉=アリーシャ)が転生先の歴史をどんどん紡いでいきます。
筆力、構成、キャラ、世界観、テンポ……。総合力が求められると言われる長編小説の中でも、かなりレベルが高い作品です。カクヨムの中でも、上位の筆力を持つ作者様だと思いました。
また、お邪魔させていただきます。
交通事故で転生した若菜(29)が、アリーシャ(19)になってしまうというお話です。
若菜がアリーシャになるのとも、二重人格になるのとも違って、ふたりの記憶と思考が溶け合っているというところがこの作品の特徴で、その描き方が面白い。
現代知識無双と思いきや、その世界の技術水準のちょい上を出していく奥ゆかしい若菜(アリーシャ)は、公国の若き君主リヒャルトとその腹心エックハルトと出逢ます。
若すぎる少年君主リヒャルトと複雑な出自を持つエックハルトは共に深い闇を抱えていて、アリーシャと若菜が持つ別の側面に、それぞれ徐々に惹かれていきます。(いまここ)
世界観は近代ヨーロッパ風と見せかけて、「厄災」と呼ばれるメカっぽい敵も登場。(バトルシーンあり)
そう、これはファンタジーではなくSFなのです。
物語はまだこれから盛り上がるところです。
是非ご一読下さい!