堕チタ勇者ハ甦ル

  ネタバレありです。注意。



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 先日完結したばかりの中長編の小説です!

 いやもう面白いんだか面白くないんだか、作者の自己満足で構成されたストーリーに作者しか推してないんじゃなかろうかと言うくらいの勇者エリンが主人公です。二部からの準主人公であるルシアや三部からの準々主人公ルハカの方が遥かにわかりやすいキャラでしたので人気もあったと思います。


 テーマとしては――恋人を裏切った女性の復縁の物語――があります。本来ならNTRからの復縁が分かりやすいのですが、今回はあまりいいギミックを思いつかなかったので『追放』というテンプレな裏切りとなりました。


 大元のプロットでは――オーゼを追放したエリンはオーゼを憐れみ、見下し、しかし空回りして権威を保てなくなる――兄を見限ったルシアは慢心し、エリンに成り代わり反逆者オーゼの前に敵として立つ――ルハカは……ルハカは元々あんな感じ――だったのですが、なんだかずいぶんとソフトになってしまいました。初プロット作品だったのですが、プロット立てた意味が無いような展開になりました。


 エリンは最初から割と揺れており、あまり酷いキャラにできませんでした。その辺がまだ上手くないんですよね。キャラに対して非情になり切れないのがこの作者の最大の欠点だと思います。もっと善人っぽく、主人公に対して憐みを持った酷いキャラってのを書きたかったのですが、ちょっと内面が弱弱しすぎました。


 まあそのエリンが少しずつ勇者として相応しい行動を選択していくなかで勇者として甦っていく話なのですけれど、その辺はあまり爽快感が無いかもしれません。やはり序盤にもう少しエリンとのエピソードを増やして、エリンの魅力を上げるべきだったかも。一章を慌て過ぎましたね。ただ、それをやると追放での好感度の急落に耐えられるかが微妙になりますが。



 ◇◇◇◇◇



 本筋のテーマが成功だったかどうかは読者様に依ると思いますので、ぜひ読んでみてください。


 本作はテーマ的に『堕ちた聖女は甦る』を受け継ぐものとなります。

 モチーフや展開にもセルフオマージュ的なものがちりばめられています。さらに今回、実験的に戦闘シーンをちょっとだけ派手にしてみました! 『堕ちた聖女は甦る』では板金鎧の凄さを表現しきれませんでしたので、今回はその辺をもっと強化してみました! 誰も望んでないかもしれませんが!


 『堕チタ勇者ハ甦ル』ではいろんな戦闘シーン描写を試してみています。

 ざっと各話の戦闘シーン(集団戦を除く)を確認してみます。


 

第5話 決戦 https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330664937092302

 こちらは戦侍女イェリヤル千の剣の怪物スコラハスという伝説上の怪物との戦闘です。まあ、不気味さと派手さがあるだけでそれほど変わってるわけではありません。


第6話 魔王

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330664955201172

 こちらも戦侍女イェリヤルと魔王との戦闘で前話と同じくです。


第14話 峠越え 1

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330665262917471

 乳飲み子ミルゴサと呼ばれる妖精との戦闘です。魔法の光弾ミサイルストライクの溜め撃ちは、D&Dの初期のバグ技(というか表記ミス)であるマジックミサイルの効果時間1turnという定番のネタです。


第16話 峠越え 3

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330665292321594

 大蛇ワームと呼ばれる腕も足も翼もない竜です。ストゥアワームとかリンドヴルムとかと一緒ですね。竜は寝ているところを不意打ちが定番ですけれど、今回は酒を使わず魔法でゴリ押しでした。まあ、他に面白い倒し方を思いつかなかったので。


第25話 お兄さん

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330665686950801

 魔法少女ルハカ(ただし見た目は山姥女子!) vs オーゼですね! この辺から個人戦闘になるのでテンポが速く、手数も増えていくので面白味があると思います。たぶん……。

 ルハカは魔法少女なので近接打撃で襲ってきますが、オーゼはルハカを妹のように可愛がっていますので傷つけたくありません。そこで頭脳勝負となりました。INT(Intelligence)勝負に持ち込んで、正常でないルハカを屈服させることに。


第32話 白銀の戦い

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330666530378538

第34話 ストアヌイ

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330666870630234

 エリンと一ツ目ストアヌイと呼ばれたギードラとの共闘で、相手は並程度の戦士団です。エリンは遠征時の戦い方が身についているので攻撃を全て躱しながらの力押し、対してギードラは全身鎧で攻撃を受け流しつつ鎧の隙間を突いたりウォーピックで殴りつけます。ギードラは対人戦闘のエキスパートらしさを発揮し、エリンの目にその戦いぶりを焼き付けます。


第39話 ミルコラハス

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330667202977633

 オーゼ、ルハカ、ゲインヴ vs 黄泉の門番ミルコラハスと呼ばれるケルベロスっぽいやつとの戦闘です。ここはひたすら耐えるゲインヴ以外に見せ場はありません。


第41話 地下の主 1

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330667300468136

 朱の人食い鬼オーガメイジです。赤鬼というとやはり西洋風ファンタジーのオーガ――というよりエキゾチッククリーチャーである日本の鬼が思い浮かばれると思います。和風の鎧は主人公たちには小札の鎧として見えますし、大袖は縛り付けた盾バインダー、瓢箪は水袋にしか見えないでしょう。


 ルハカは走り回る魔術師というとんでもなくうっとおしい戦い方をします。RPGやMMORPGなんかではボスギミックでも無い限りは固定砲台となるのが定番ですが、アクションMORPGでは走り回る魔術師は珍しくありません。走り回ってファイアウォールをバラまくの大好きでしたのでルハカの戦い方は好きです。


 ちなみにファイアボールというとweb小説なんかでは初級魔法という扱いが多いですが、D&Dでは高レベル帯でも基本となる高火力魔法のひとつです。ファイアボール一発が半径3m(!)を焼き尽くす強力な魔法と言うイメージを持つのは、D&Dゲーマーの特徴かと思います。そのためもあってこの物語の魔術師たちは、大仰しい攻撃魔法を使うことなく、シンプルな魔法を使い分けるのです。


第46話 負けられない戦い 2

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330667484010877

 ルハカとアイトラの一騎打ちです。口上もなく、掛け声も派手な効果音もありません。長い呪文は呪文名で代替していますが、魔術師同士の戦いに余計な台詞は必要ありません。


 思うのですが、文章突っ込めるからって戦闘中に長々と思考したり会話したり叫んだりって気が緩み過ぎでは――って。そんな余裕たっぷりの戦い方してるから負けるのでは!?――と。アイトラの敗因もその辺だったと思います。


第47話 私の戦い

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330667504576367

 オーゼ vs ルシアと見せかけて、ルシア vs もうひとりのルシアという戦いです。オーゼは完璧超人なので放っておいてもなんとかしてくれますから、ルシアの頑張りどころです。こういう構造って面白いと思うんですけど、どうですかね?


 初期プロットでは慢心のルシアをオーゼが打ちのめすだけの今となってはつまらない戦いでしたが、ルシアが結果的にオーゼに不利な情報を漏らしながらも致命的な妨害をして最終的に勝つという、オーゼではなく――私の戦い――な話です。


第48話 肉薄

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330667518291453

 エリン vs ジルコワルです。これは初期から入れようとは思っていた戦闘ですが、どのような形にするかは書き始めるまで決めていませんでした。エリンの手持ちのカードで戦うとなると、キーとなったのは一ツ目ストアヌイとの共闘でした。ジルコワルの弱点がまさに一ツ目ストアヌイとなったわけです。


 刺突剣もそうですが、後期のロングソードは素材の品質が上がったこともあり、しなやかで薄くても折れなくなりました。そうなると鎧の隙間から差し込めるようになり、鎧は隙間から差し込めないよう繊細に進化していきます。本当を言うとここでのベストな武器はウォーハンマーなのですが、エリンは扱い慣れていないのでジルコワルに斬り飛ばされる可能性も高いです。


 エリンは両の武器を上段に構え、ひたすら兜に向かって突きますが、この世界の貴族たちの兜は魔法で視界を確保していることもあってジルコワルの弱点となります。最終的にエリンの馬鹿力でねじ伏せてしまいますがこれ、エリンさえ気が付けば最初から拳で行った方が強かったというオチですw 実際、その後のエリンはゴドカの戦士たちを殴り飛ばしています。


第51話 依代

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330667875331862

第52話 祝福

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330668010424623

 邪神との最終戦です。シメに何と戦わせるか。いろいろと案はありましたがやはり最後は竜かなあと。この世界、アンデッドという概念がありませんので正確にはアンデッドワームとなるかもしれませんが、あまり美しくないので依代とだけしました。だって、黄泉の国なんて洒落たモノがあるのにアンデッドで括られると情緒がありませんもの。


 ちなみに他の作品でもアンデッドという概念は今の所出していません。例えば『姫様ここにあり!』のはどう考えてもアンデッドですが、決してそう呼びません。『シャーレの中の彼女』もそうです。彼らはまた別の形での祝福された存在なのです。


 邪神との戦闘自体は、鋼鉄を断ち斬れる魔法の剣の今更ながらの凄さ、ゲインヴが見せた盾での活躍に加えてエリンの馬鹿力で打ちのめすことができる数トンの怪物、ルハカの弾着観測とか魔法での制圧射撃サプレッションとか、作者の地味な好みを突っ込んであります。


第53話 ある王子の物語

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330668028199987

 オーゼ vs ジルコワルですね。まあ、格の違いを見せつけただけで何も言う事はありませんw 顔面に肘を入れたのは女の団員です。


第60話 解かれる封印 3

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330668419995702

 エリン vs オーゼです。最高ですね! 直前まで熱い口づけに戸惑っていた彼女の回想が、オーゼを押し倒してファーストキスを奪うところから始まるあたりなんて特に!w


 そして太腿から下の鎧を残してあと素っ裸になったエリンが再びオーゼに襲い掛かります! 裸サイハイの上位バージョンですね!



 以上、本作のおススメの戦闘シーンでした!

 完全に作者の趣味ですが、こういう感じの戦闘シーンが好きです。


 何卒、宜しくお願い申し上げます。



『堕チタ勇者ハ甦ル』

https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159




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