第46話 負けられない戦い 2
「嘘でしょう…………!?」
私は目の前の事実に……あまりの衝撃に膝をついていた。こんなことは想定していなかった。まさかあの
私は追加の
戦況だけど、こちらからは矢の雨が
そして
私が何を見て膝をついたかと言うと、
私がお兄さんと夜が明ける前から仕掛けた策はそこまで複雑なものではない。
お兄さん任せな部分も大きいけれど、まずは
当然、昨日と違わないよう地面も同じく高くなるけれど、そこはあちらが斜面だから少々の異変は気にもならないだろう。それに、傾斜地からの射撃は平坦な地面と違って意外と
次に
最後に私、それからレハン公の魔術師たちと共同で
ただ……ただ、
当然、そんな調子で魔法を撃ち続けていたら、並の魔術師は魔力が足りなくなる。魔力切れを起こす前に諦めるだろう。だけど――。
「えっ、バカじゃないのあの子たち! まったく嘆かわしい……」
なんと、嬉々として魔法を撃ちまくっていた
「遠征でも見た光景でやすねぇ……」
それだ! かつての魔王軍の魔術師たち。彼らは正直、まともな活躍をしていなかった。あの頃はただ単に未熟な魔術師が多いだけかと思っていたけれどそうじゃない。虚栄に囚われるということはそういうことなのだ! 恐ろしい。魔術師でさえバカになる。私は自分のしたことは棚に上げ、身震いした。
次々と前線で倒れていく
「あの
「えっ!?」
手隙になったのか、いつの間にかお兄さんが傍まで来ていた。
「遠征のときと同じだ。寝返らせられる敵ならこちらに頂こう。幸い、
企みを秘めた笑みを見せるお兄さんに――トクン――と胸が高鳴ってしまう。けれど、今はお花を咲かせている場合じゃない。私たちはレハン公の魔術師たちにあとを引き継がせ、出撃の準備をした。
◇◇◇◇◇
味方の兵士たちに
全軍の準備が整うと、お兄さんの――
レハン公のかき集めた兵は精鋭でこそないが、急ぎ集めたにしてはとにかく数が多い。レハン公の有能さを示していると思う。その数の有利で
ただ、そこに割り入ってきたのが赤毛の女。
いつの間に長めの
◇◇◇◇◇
「お兄さん、アイトラは任せて
「わかった、気を付けろ」
お兄さんにはアイトラが出てきた場合、任せて欲しいと頼み込んであった。
余計な口上は要らない。お互いが接近しつつ
「「
お互いの
アイトラはふわりと地面に着地する。
対して私は地面を転がるように受け身を取って着地する。
「あはははっ!
笑うアイトラ。立ち上がった私はいつもより少しだけ視界が広い。
「
「
火球の赤い槍が私に向かって飛んでくる。障壁を削られつつも、
アイトラの盾を躱し、――バリバリ――と白熱の槍が直接アイトラの障壁を削る。
「
槍の次は脚!
既に
「
左の蹴り込みの勢いで右の軸足を捻りながら滑り込ませる。
まさか届くと思っていなかったアイトラは腹に食らって悶えながらも詠唱を――。
アイトラの
詠唱を遮りつつアイトラを蹴り続ける。
「な、なんなのよその魔法は……」
戦闘中に
「オーゼ様の謹製ですっ!」
お兄さんを讃えておいた。
「
「
アイトラは白熱の槍に貫かれていた。
バカな子だ……。
私はお兄さんに合流すべく、
--
ポッと出のアイトラさんはすぐ退場になりましたが、これまできっと縁の下の力持ちとしてジルコワルを支え続けてきた努力の人……だったかもしれません。もしかすると。ないか。
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