野を奔る姫、凛と。


草の匂い、土の感触、森の空気、夕餉のにおい。
走り、叫び、策謀が網張られ、打ち破り。
国と国、父と子の、図らざる相剋。
積み重なる想念が呪いを生み出し。
野を奔る姫は、凛と向かう。
脚を張り、凛と。

この筆致で、この世界を。
このことばで、この成り立ちを。

世に提示しておいて、中編で終わりでしたと。
そんなことが許されるはずもないと、わたしは、叫ぶ。

凄まじい。
作者さまが示したこの世界に、生きていたい。

どうか、どうか。
みなさま。