プレゼント　in the sky

本シリーズならではの、設定と背景と心理の精緻な描写。
それによって、時代の流れに逐われた悲しみ、父子の感情のしこりといったテーマがリアリティをもって浮かび上がってきます。
それだけに、後半の展開は痛快な希望として、まさに空へと舞いあがるはず。
未来の、南半球の空に、メリークリスマス！

那智風太郎自主企画『プレゼント』　最優秀作品

待望の『近未来SF in シリーズ』
今回の舞台はオーストラリアのどこまでも続く青い空。

時代の流れに生き甲斐を奪われてしまった失意の男ルーク。
進歩していくテクノロジーに夢さえ抱くことが許されなかったその息子ジョージ。
小さなすれ違いと誤解によってわだかまりが生じ、いつしか疎遠になった親子関係。
けれど神の……いやサンタの差配か、その彼らにクリスマスの奇跡が訪れる。

いつもながらの丹念な下調べを礎とした精緻かつダイナミックな描写。
また丁寧に仕掛けられた伏線と見事なストーリー展開。
そしてラストはそれぞれの胸に感動を抱く読み手を置き去り…続きを読む

社会のあおりを受けて仕事を辞めざるをえなかったパイロットが、久々に息子に会いにいく話です。
洋画ドラマのような、ホッとする読後感に出会えるでしょう。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（144文字）