音叉の響きからやがて音楽になるような文章

とても繊細なタッチの文章にまず惹かれました。
混じりけの少ない澄んだ筆致。会話と「人」の名が2つ、3つ現れる頃には物語のテーマの気配を感じ取れる位に、読み手を敏感にします。
最初のエピソードは、まるで音叉を聴くようでした。

そこに丁寧に少しずつ異なる音色が加わりながら展開するストーリー。
登場人物達は調音するように人と繊細に接している、と思います。綺麗な音が遠慮がちに鳴り合う中盤に感じました。
そこから自分の音を見出して音楽になるかに盛り上がるラスト、充足感があります。

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