未来を手繰り寄せるのは、鋭敏な感覚と大らかな強さ

王族の毒殺容疑で孤島に幽閉。主人公ルシリカの状況は逆境そのもの。
しかし、幽閉は「真相解明」のため、彼女が前向きに選んだという始まりに、このヒロインが凝縮しています。
困難へ立ち向かい、戦うことを選べる主人公。

しかし、彼女は香職人という「文化系」。腕っぷしが強い訳でも、権謀術数に長ける訳でもないのです。
それでも戦おうと気負い過ぎずに進める眩しさがルシリカにいつもありました。

孤島の自然風景、漂い来る草や料理の匂い、『ぽよん鳥』の羽。
一人称で語られるそれらはルシリカの性格というフィルターによって、美しく、芳しく、ふわふわと心地良いもの。

ですが、彼女はここに来て間もなく、栄養失調で倒れます。
そう、本当は過酷な環境。それさえもルシリカは幸せな生活のように捉え直せる、世界の見え方も自然と変えてしまえる格好良いヒロインです。

ルシリカには天才的な調香のセンスを持つ一面があります。
きっと彼女はいろいろ敏感で繊細な感性を持つはずで、そこから生まれるかもしれない優しさもさりげなく描写されます。
慎重と怯えにも繋がりやすい鋭敏さを持つヒロインがそれでも大らかに歩いて行く姿が魅力的でした。

癒しの『ぽよん鳥』に隠された秘密が明らかになるエピソードは必見です!

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