概要
いつか、海で泳ぐあなたを見てみたい。広くて恐ろしい、この美しい世界で。
古い洋館を訪れた、家政婦の「私」。館の主である老人は、秘密を抱えていた。
禁じられた扉、陸から海へ還った鯨、庇護と呪縛の揺り籠。
扉の先で、私が出会うものとは。
禁じられた扉、陸から海へ還った鯨、庇護と呪縛の揺り籠。
扉の先で、私が出会うものとは。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!命の強さ
家事代行サービスで、『私』は古びた洋館に訪れた。慎重に洋館の呼び鈴を鳴らすと、現れたのは、代行サービスの依頼人である老人『N氏』だ。
N氏は週三回、清掃と料理を希望。彼は私に対して、あまり友好的ではなく、少し寡黙な印象である。そんな彼は、掃除場所を一階に指定。彼の研究室がある二階には立ち入り禁止だと、強く私に言い聞かせた。
なぜN氏は二階に入らせたがらないのか、その二階には何があるのか——といったお話です。
これ以上は何を言ってもネタバレになる気がするのですが…。
自分はこの作品を読んでしばらく、余韻が残って何も言えない気持ちになりました。この作品は自由で、尊くて、何より力強いお話です…続きを読む - ★★★ Excellent!!!現代の全てをメルヒェンへと変えるタブー
静かに丹念に描かれる情景はそれだけで異界の空気を纏っています。
特別な何かが起こってはいない風景に感じる人の気配のなさ。
その描写こそが冒頭、この物語の特別感を強烈に示していると思いました。
家事代行の若い女性。彼女の訪れる先の元学者らしき男性。
年齢、性別、社会的評価と全てが異なる中、個として働き、生きる二人はどこか軸に寄り添えるものを持っています。
しかし、男性は「二階」という女性が入ってはいけないタブーを与え、近付くことをよしとしません。
タブーは破られるのが物語のセオリー。
勿論、彼女はタブーを知るのですが、その知り方が何とも自然で、そのインパクトでストーリーを味付けはされません…続きを読む