人が引きこもってしまう原因はさまざま。
主人公の友近は、そんな方々に手を差し伸べる仕事をしています。
夫の件もあったので、信念を持っているのです。
彼女が担当することになった人は、なんの因果か幼馴染でした。
在宅ワーカーの彼は、家事も掃除もこなします。
十分立派に思えるものの、どこか自信がなさそうです。
原因は、目の前で起こったショッキングな事故でした。
凍てついた心を溶かせるのは、やはり体温。
小学生の時ぶりに繋いだ手は、かつて勇気をもらった恩返し。
そうして再び、外に出られるように。
彼女が受け入れてくれたから――――
本当に?
結局……他人は他人、私は私なのかもしれません。
トラウマになるような出来事って、想像だけではフォローしきれないのでしょう。
真意を知るころ、もう手遅れなことも。
支援をするにも、覚悟が必要。
そんなことを考えさせられる作品です。
地域支援センターの女性職員・友近が担当するのは、偶然にも幼馴染の男性・本折。
本折の目の前で起きた人身事故がトラウマとなり、彼は一歩も外に出られなくなった。
昔から体が大きくて、気が弱くて、優しい人だった本折。
幼い頃、学校嫌いだった友近の手を繋いでくれたのは本折だった。
友近は親身になって本折に寄り添う。
その甲斐あって、本折はやがて少しずつ変わり始めた。
友近と一緒に、近所まで数歩の距離を彼が歩けたときは、読者である私も心の中で快哉を叫んだ。
社会問題に切り込みつつ、人の温もりの大切さが綴られたヒューマンドラマ……の、はずだった。
言葉だけを見れば美しく重なる二人の想いが、決定的に、そして致命的にズレていた。
その溝が一気に露わになる瞬間の絶望的なカタルシスが凄まじい。
温かかったはずの「体温」がこれほどまでに冷たく響くとは。
これ以上何も書けません。
とにかく、読んで!!
地域支援センター職員と、外に出られなくなった幼なじみの再会から始まる、穏やかな再生の物語です。
主人公・友近は、過去の経験から「焦らない支援」を心がけ、少しずつ、少しずつ相手の世界に寄り添っていきます。
呼吸、ヨガ、体温、ほんの数歩の外出。
その一歩一歩がとても大切に描かれていて、読者も人の心に寄り添うことの大切さを学ばせて頂きました。
でも、この作品はの本当の学びは後半に訪れます。
物語をさかのぼってあの言葉も、この場面も、すべて違う色を帯びて見えてくる。
その感覚がとても強烈です。
人の数だけ、感じ方があります。
人の数だけ、求める救いも違います。
人の心は、そんなふうに単純にはできていません。
最高の支援を学ばせて頂きましょう。
ハートウォーミング。きっとそんな言葉が似合う作品として書いたのかな、なんてことを最初は思ってしまいました。
引きこもりの人間が自立できるよう支援する仕事についている友近。三十五歳になっている本折と会い、「つらら」のようだと自分のことを語る彼を「温めて」上げようとする。
次第に前向きになれる本折。心と心の交流が生まれ、明るい未来へと繋がって……いきそうな雰囲気が醸し出されます。
なんか、ストレートに良い話的なことが書かれているのかな、なんて思わされます。でも、この作者が素直なものを書くかな、という疑問がやはり拭えず。
どこかできっとオチがあるはず。「体温」がテーマだったりするから、本折か友近のどっちかがサイボーグとかそういう結末が待ってるかな、とか色々と想像を膨らませ……。
そしてラストまで読み、「そういう方向か」と何度も頷かされることに。
果たして、「救い」とは誰にとって必要なものなのか。温めること。交流すること。立ち直らせること。それは社会にとって絶対的にプラスとなるものなのか。
これって結構現実的にも出てきそうな問題かもしれないとも思いました。無理に「あたためて」しまうことで、世の中としては思わぬ何かを解き放ってしまうこともある。
そんなテーマ性にも繋がる感じがあり、色々と考えさせられる作品でした。
引きこもり、それは大きな社会問題の一つである。この物語は、ある一人の引きこもり男性を支援する女性のお話である。
男性は、女性の幼馴染み。昔から肥満体型だが優しい性格だった。しかしある日、列車への飛び込み事故を目撃して以来、外に出られなくなった。
女性は、あなたは自宅で仕事が出来ているので外に出られなくても生きていけると言って男性の心を次第に溶かして行く。男性も少しずつ心を開いて行く。
過去に夫を「救えなかった」経験を持つ女性が必死になって心を尽くす姿、何としても息子を外に引きずり出そうとする親の言い分、外に出られない自分の不甲斐なさを嘆く男性の心理描写が読者を惹きつける。
そしてこの物語は意外な展開に!
読んで頂けば、あなたもその意外性に驚愕する事でしょう。おススメです!
主人公である友近ゆみには、真面目な夫がいた。しかし、彼はそれゆえ己を壊してしまい、最終的に外に出られなくなった。友近はそれに酷く焦り、「しっかりしてほしい」との思いで彼に接したが、それは彼を傷つけた。
結果、友近の夫は死んだ。
その反省から、友近は地域支援センターで働くことになった。そして、入社して初めて一人で受け持つクライアント、それは彼女の幼馴染、本折清であった——といったお話です。
この作品を読んだときに思ったのは、わかりあう難しさです。人間は一人一人独立した思考を持つわけで、互いの意思や考えをわかりあうのはどんなに大変なことか、と思いました。
おそらく、完全に相手を知ることは、理解することは、できないのでしょう。しかし、それは決して悪いことではないはずです。できたとしたら、少し怖いですし。
この作品は、誰かと関わる人や、後悔したことがある人、すべての人に読んでいただきたいです。
ぜひ、ぜひご一読ください!