忘れていた記憶
結論。マジで受けてよかった。45分という制限があったが、それじゃあまだまだ話し足りないと思うくらいには。カウンセラーの先生は40代くらいのあっさりした雰囲気の女性の方で、話し方や言葉の選び方があっけらかんとしていて好感が持てた。
何が良かったかって、話しているうちに無意識に考えていることを言語化できたり、自分でも忘れていた小さいころの記憶を思い出すことができて、あーだから今の自分こうなのね、っていうのをちょっとずつ理解できるようになったこと。
具体的に話すときりがないんだけど、1番なるほどと思ったのが、多分自分の体への嫌悪感ってのは、小5小6くらいの胸が大きくなるとか生理が始まるとか、そういう体の変化への気持ち悪さからきていると思う、という話をしたところ、思春期ってそもそも自分に意識が向きやすくて、周りからどう見られているんだろうって常に気にしがちで、簡単に言うと自意識過剰な状態になりやすい。で、さらに女性らしい要素を多く持っているとそれをよくないものだと思って余計隠したがる傾向にある、というような話。特に私は周りの女の子と比べてそういう変化が早い方だったから、なんか周りと違うのが恥ずかしくて隠したいと思っていたんだろうな~ってすごく腑に落ちた。だからずっとボーイッシュでいようとしてたんだな。先生は「(女性らしさの)埋蔵量が多い」という表現をしていて、妙にツボだった。
他にも気づいたこととしては、自分のことをどう思いますか?と聞かれた時に、自分のことを「女性として」という観点で評価しているということ。いやブスだし性格終わってるし人から好かれるわけないやん、って思いがちなんだけど、女性としてでなく人間として、と考えると、ちゃんと働いて飯食って生きてるだけで偉いじゃん、と激アマ評価。なんなんだろうこのフィルターは。今まで疑問に思ったことすらなかったけど、言われてみたらおかしな話なんだよな。
また本筋とは関係ないところでは、話していたらすごく明るくてひまわりみたいな印象を受ける、と言われたのが嬉しかった。初めてそんなこと言われたので。
私の本名はそのひまわりという言葉に近い感じの名前で、私の名前も○○っていうんですと言ったら、じゃあ咲かせていかないとね、と言われてすごいやる気出た。昔は可愛い名前に自分がそぐわない、名前負けしてると思って嫌だったけど、今はこの名前に見合うような人間になりたいと思えるようになった。
カウンセリングが終わった後、話している中でちょっと思い出したことがあり、その記憶を詳しく呼び起こしてみよう、と思い立った。それは、私が小学校3年生の時の記憶。
小3の2学期に、私は引っ越しに伴って小学校を転校した。転校先の新しいクラスで、私は好きな男の子ができた。勉強はできないけど運動できていつもクラスの中心でふざけてるようなやつ。その子に学年が変わるまでの約半年ほど、いじめられてた時期があった。具体的に何されたかはあんまり覚えてないけど、たしか叩かれたり蹴られたり暴言吐かれたりしてたと思う。クラスに友達もいたし孤立してたとかではないんだけど、なんでかその男の子だけにそういう行為をされていた。
一番悲しかったのは、その子が私の机に延々と落書きをしてきて、私は必死に消しゴムで消すんだけど消したそばからまた書かれてく、ってされたこと。あの時の汚されていく机の上とか前の席の男の子が心配そうに見ていたこととか、今でも映像として思い出せる。
当時の私は、なんでこんなことされるんだ、私の何が彼をこんなに怒らせてるんだ、って自問自答して。で出した結論は「私は可愛くないから好きになっちゃダメなんだ」っていうことだったと思う。ブスとかデブとか言われたのを真に受けて。じゃあこの好きな気持ちは持っちゃいけないものなんだな、と、自分の恋心を必死に忘れようとした。そして、
「自分は男の子好きになっちゃだめなんだ、好きな気持ちがバレないように隠さなきゃ」
「男の子好きになってもろくなことにならないんだ」
「女の子らしくしてたら痛い目見るんだ、なめられるんだ」
「女の子らしさを隠して男の子っぽくしなきゃ」
そう心に刻んだ。自分を守るために強くあらねば、と心に鎧をまとい始めた瞬間だった。
そんな経験があったことさえ、すっかり忘れてしまっていた。なんであんなに強烈な経験だったのに忘れてしまっていたんだろう。いや、あまりにもつらかったから記憶から消そうとしていたのかもしれない。
ただ、今の自分がこうなっているのは、間違いなくここに起因している。そう確信した。もっと深堀りしていけば、もっといろんなことを明らかにできるんじゃないか?今の自分を変えられるんじゃないか?俄然やる気がわいてきた私は、カウンセリングの本予約を取ったのだった。
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