本当は憧れていた

 4回目のカウンセリング、主題は「自分の中の女嫌い」「女の子らしさへの憧れ」について。

 女嫌いっていうのは、小学生中学生の頃、クラスの中で女子女子してる子たちが苦手だったり、かわい子ぶりやがって、と憎たらしく思っていたり、弱々しさを演じて男子に頼ろうとする姿が嫌いだったりしたこと。「もー男子!」ってよりは、「おいお前ら!!」ってタイプだったから。自分がそういう感じ、ぶりっ子する感じになってしまったら周りからウザがられるだろうと潜在的に思っていて、そういうのを避けていたのかもしれない。今でもそういう子への苦手意識はちょっとある。


 逆に憧れっていうのは、多分幼稚園か小学校低学年の頃のこと。セーラームーン、おジャ魔女どれみ、ナージャ、プリキュア、そんなアニメが流行って、私も例にもれず大好きだった。ディズニープリンセスも好きで、リトルマーメイドは何度も繰り返し見た。で、そういう変身グッズというか、子供向けのコスプレ衣装みたいなのを買ってもらった友達もいて、そういうのを着させてもらった時があったんだけど、それを着てる自分を見て幼いながら「なんか似合わんな」と思ってしまった。ピンクのフリフリヒラヒラと、自分のこけしみたいな顔がそぐわない気がした。(この前小さい頃の写真が見つかったって親戚から送られてきたんだけど、おかっぱで目が細くてマジでこけしみたいだった。それもそれでかわいいと今は思うけど。)自分はどうもこういう感じじゃないらしい、と思い始めたのがこの時だった。

 なんだか自分の中で、「女の子らしさ」のイメージが誇張されすぎている気がする。髪はふわふわで目は大きくて華奢で、小動物のような、ディズニー映画に出てくるお姫様のような、少女漫画の主人公のような。自分とは真逆だな、と思って、そういうのを全部諦めてきた。そういう感じじゃないと女の子とは言わないんだって、そこまで思い込んでいた。だってこけし顔だし手足でかいし握力ゴリラだし肩幅ガンダムだし…。


 その一方で、20歳前後からいいなと思う女性、憧れる女性は系統が似ていた。椎名林檎を始め、好きな女優は満島ひかり安藤サクラなど、気の強そうな感じ、自分の芯や世界観がある感じの人を好きになりがちだった。

 その話をすると先生から、人に対していいなと思う要素は自分の中にもあるんだよ、と言われた。自分の中にないと、人に対してこういうとこがいいよね、って出てこないから。だから、憧れの人たちの憧れる要素が、なんか自分の中にもあるらしいな~とふわっと思っておくといい、らしい。

 で、そういう人たちもお姫様系ではないけれどすごく魅力的よね、ってことはこっちの方向が合ってるんじゃない?と言われ、それもそうだな?!と目から鱗だった。よっぽど「女の子らしさ」という固定観念がガチガチに固まっていたらしい。女らしくしなきゃ、って思うのも、女らしくしたくない、って思うのも、その固定観念から抜け出せてないから思うもんであって、結局はそんなもん関係なく自分がやりたいように表現できれば、それが魅力として後からついてくるもんなんだな、となんとなく思えた。


 やりたい自分、理想の自分っていうのがどういうものなのかまだはっきりとは分からないけど、一つ目標?があるとしたら、自分の名前に見合った人になりたい、というのがある。

 私の本名は、シンプルかつ可愛らしい感じの名前で、珍しいといえば珍しい方。(ちなみに全く同姓同名の有名人がいる)で、小1か小2の頃、親になんでこの名前を名付けたか聞く、という課題が出されたときに、「みんなから好かれるように、愛されるようにと願いを込めて」というような回答を母親からいただいた記憶がある。それを聞いて私は、うわめっちゃ名前負けしてるやん…と思い、そこそこの歳になるまでその気持ちを引きずっていた。だって私かわいくないし人から好かれるわけないし。

 けど今はそうじゃなくて、私は○○って名前です!と胸を張れるようになりたい。みんなに好かれるのは無理でも、周りの人には優しい印象を持たれたい。安心感を与えたい。そんな風に思う。


 また、自分に対してポジティブに考えられるようになったかもな、っていうのが1つあって、前回自分の体は母性とか、癒しとか、生命力みたいなものを男性に与えられるかもしれない、という話をされて、その時は分からなかったけど今思えば、話してると癒される、とか落ち着く、言われがちだなと気づいた。なんかそういうもんが自分に備わってるんかなって思えるようになったのも進歩といえば進歩で。

 自分の体が自分のものじゃない、みたいな心と体が乖離したような感覚も、今は感じない。入れ物だとも思わない。これも含めて私なんだなってようやく思えている。自分の中の自分像を書き換えることができた、そんな実感がある。



 今まで、自分の心にいろんな蓋をしてきた。女の子らしくしたいと内心思っていても、自分には似合わないからと遠ざけてきた。女らしい自分は気持ち悪くて、人を好きになっちゃだめだと気持ちを閉じ込めてきた。けど、もうそんな蓋は必要ないんだ。人目なんて気にしないで好きなようにやればいいんだ。(そう言っている時点でまだ人目を気にしているのは明らかだけど)やりたいようにやっていいんだ、と自分に許可を出せるようになったのは、大きな変化だと思う。


 とりあえず数年ぶりに髪を伸ばしたいのと、ワンピースが着たいので今度骨格診断を受けてこようと思います。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る