気持ち悪さの出所
3回目は最初から2時間で申し込んだ。話したかった主題は、前回小3の時の自分を置き去りにしていたことに気づけて、他の段階でも自分を置き去りにしているかもしれない、と思ったのでそこを探りたい、ということ。まずは前回の続きで、大学時代を振り返ることから始めた。
大学時代の私はすっぴんでショートカットでメンズ服をだらっと着ているような、そんなタイプだった。あと中学生からかけていた眼鏡をコンタクトに変えた。大人っぽくかっこよくなりたいってイメージもあったけど、やっぱり周りの目線から女性らしい自分の体を隠したかった、ってことだったのかなと思う。
そんな中、私を混乱に陥れるような出来事が起きる。それが1話目でも書いた、サークルの先輩を好きになったこと。(今思うとお前ほんとこういうタイプの顔好きだな!のきっかけがこの人かもしれない。黒髪塩顔タレ目でかつそこまでイケメンじゃないってのがポイント。)好きは好きなんだけど、そういう自分はなんか嫌で、男の人を好きになる=自分は女っていうのが受け入れがたくて、自分の性自認や性指向に無理くり変な解釈をして自分を納得させようとしていたんだと思う。
次の免許合宿で好きな人ができたときは、もっと混乱してもっとしんどかった。自分は女じゃない、人を好きになっちゃいけない、と思ってブレーキをかけ続けていたのに、そのブレーキも効かないくらい好きだ!!!って気持ちが大きすぎたから。しかも初対面で全然知らない人に対してそんなクソデカ感情を抱くなんて、っていう意味での混乱もあった。ひたすらしんどいとしか思えなくて、恋ってしんどいんだなと思った経験だった。
本当は、というかもともとは、すぐに人を好きになってしまうタイプなんだよね、と何気なく先生に言われて、そうだな、きっとそうだったんだと急に腑に落ちた。今まで自分はそんなんじゃない!って否定し続けてきたことを人に指摘されて、ストンと受け入れることができた。小学生の時に、自分が女の子らしい感じだと周りから舐められる馬鹿にされると思って女の子らしさを遠ざけてボーイッシュにふるまってきたけど、それはすぐに男の子好きになっちゃう自分を隠したかったってのもあったと思う。だから一生懸命そんなものは私に関係ないってふりをしたり、私こういう感じだからお前らとは友達だよなっていう態度を取り続けていたんだろう。
私が隠したかったもの、気持ち悪いと思っていたものは、自分の体に対してと自分の内面に対してに分解できるような気がして、その二つがこんがらがっているんだなと気づいた。もうちょっとかみ砕くと、身体的外見的な女らしさへの嫌悪感と精神的内面的な女らしさへの嫌悪感が混ざり合ってる感じ。それが恋愛感情と結びついていて、人を好きになるとうにゅうにゅと嫌悪感が湧いてきて自分で自分が気持ち悪!ってなっちゃってたんだと思う。
私はふと、自分がこの体でいいと思えたことがない、得したことがない、とこぼした。別に性犯罪の被害にあったとか、そういうトラウマ的な経験は幸いなことにないんだけど、もっと中性的な、すらっとしてぱっと見男か女か分からないみたいな体つきが良かった、と。
先生は、それは多分、その体の良いところを見ていないだけだと思うけどね、と話し始めた。良いところっていうのは、母性とか、癒しとか、生命力みたいなものを男性に与えられるってところ。私ら女性には分からないけど、この体にはそういう力が備わってるらしい、と思えるようになったら、この体で得だったなと思えるんじゃない?と。なんだか分かったような分からないような…でも、もし自分の体が気持ち悪い、という感覚がなくなって、ほんとは自分の体いいものなんだ、という認識にかえることができたら、もうちょっとうまく使ってみようかなという気になれるかもしれない。
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