愚直なまでに真摯な中学生たちが十年前の事件を解き明かす

中学生というのは微妙な時期だと思います。まだ大人じゃない。でも、子供でもない。そして、この時期はひとりひとりの能力差が最も大きな時期なのではないかと思います。

大人顔負けの思考能力を身につけている子、如才ないコミュニケーション能力を持った子、大人を信じず良い子を演じきれる子、率直な感情をぶつけて大人をたじろがせる子。

塾で出会った中学生四人が、放課後に中学校の校舎を彷徨う『となりに立つ少女』の噂を知り、男子生徒ふたりがその正体を暴きます。さらに四人がおのおのの能力を発揮し、そこに隠されていた十年前のとある事件の真相にたどり着いてしまいます。

真相を知った彼らは幸せだったのでしょうか? 事件解決後、彼らは再びその他大勢の中学生に戻り、学校に行き、部活に出て、塾に通い、一歩一歩大人への道を歩んでいくのでしょう。

謎解きの鮮やかさに目を奪われると同時に、まだ青春の扉すら開いていない彼らの愚直なまでの真摯さに胸を打たれます。読みごたえのある一作です。

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