美術女子白井亜紀の美術にかけるひたむきさと、きゅんきゅんの高校生ライフと、母子の胸が詰まるような関係がバランスを取りながら散りばめられた作品です。
少し苦しくなる展開もありますが、そんなときでも必ずどこかに明るくて強烈な光の気配が感じられ、迷わず前に進んで行けます。同じ問題が降りかかったとしても、高校生にはその時期ならではの悩みが生じ、良くも悪くも勢いのある反応を示すのですが、それがまたおばちゃんにはまぶしかったりします。
亜紀を囲む登場人物たちが魅力的で、彼らとの生き生きとした交流を眺めているといつの間にか自分も高校生に戻って笑っているかのような柔らかな気持ちになっています。舞台となる暁の星学院は伝統ある女子校から共学になって間もなく、まだ男子は少数です。でもその男子たちがいい味出しています。
タグにライトノベルとあるように、肩肘張らずに楽しめる一作です。
まず、とっても読みやすい文章です。
会話のテンポが軽くて、好きです。
するする、読めますよ。
絵を描くのが好きな主人公の少女。
デッサンを描きはじめると、没頭してまわりが見えなくなってしまいます。
おとなしめ。だけど、好みの絵のモデルを見ると、目が野獣。(笑)
中学では友達らしい友達を作れなかったけど、高校では……。
青春群像劇です!
淡い、きゅんとする恋。
恋未満、とあるのは、主人公も、ヒーロー……美形で、モテモテだけど、ある理由から、高校三年間は女子と交際しません宣言をしてる男の子、も、積極的に、恋人を作りにいってないから。
それが、甘酸っぱさを加速させます。
主人公のまわりには、個性的な人たちが集まり、楽しい高校生活を、読者も一緒に送っているかのよう。
そして、主人公の母親との関係、積極的に虐待はしないから、「微」をつけましたが、一緒に暮らしていくには、あまりにも苦しい、微毒親も描かれます。
主人公の成長。それがテーマであり、良く描かれています。
面白いですよ!
私は気になってしまって、一気読みしました。
このお話は、一人の美術女子・白井亜紀がカトリック系の高校に編入してからの、学園生活を描いたお話です。
そこで出会う、部活仲間や、憧れの先生、友人たちとのあれこれ、更には「気になる男子!」の存在が、亜紀の学生生活を彩っていきます。
お話の空気感が、個人的にとても好きです。
私にとっては高校生活など遠い過去のことで、カトリック系の高校でもなかったのですが。ここで描かれる登場人物たちのやり取りや、体育祭、文化祭、研修旅行などを見守るうち、知らない場所なのに懐かしい、という感覚になりました。
癖が強くて魅力的な部活の先輩を始め、ゆるゆるとした、友人たちとの他愛のない会話。平和そのものな穏やかさの中、木漏れ日のようにそれらがきらきらと輝いているような。そんな空間が、ここにはあるのです。
亜紀は母親との間に問題を抱えていますが、学園生活を通して徐々に自分の心を真っ直ぐ見つめられるようになっていきます。そこも、見所の一つだと思います。周囲からの影響も受けながら、心の自立を果たしていく亜紀をみていると、やはり多くの人に、そしてその考えに触れる学校生活というものは、人の成長には不可欠なのかもしれない……そんなふうにも感じられました。
気になる男子とのやり取りには、何度もキュンとさせられますよ! これがまたジレったくて、こっちがソワソワしちゃって、まさに恋未満の、なんとも懐かしい気持ちになるのです。
高2の終わりまでが描かれたお話です。
登場人物たちの未来をつい想像したくなる、余韻のあるラストシーンでした。
お薦めします(^^)!