時折、とても懐かしい気持ちになった。

このお話は、一人の美術女子・白井亜紀がカトリック系の高校に編入してからの、学園生活を描いたお話です。
そこで出会う、部活仲間や、憧れの先生、友人たちとのあれこれ、更には「気になる男子!」の存在が、亜紀の学生生活を彩っていきます。

お話の空気感が、個人的にとても好きです。
私にとっては高校生活など遠い過去のことで、カトリック系の高校でもなかったのですが。ここで描かれる登場人物たちのやり取りや、体育祭、文化祭、研修旅行などを見守るうち、知らない場所なのに懐かしい、という感覚になりました。
癖が強くて魅力的な部活の先輩を始め、ゆるゆるとした、友人たちとの他愛のない会話。平和そのものな穏やかさの中、木漏れ日のようにそれらがきらきらと輝いているような。そんな空間が、ここにはあるのです。

亜紀は母親との間に問題を抱えていますが、学園生活を通して徐々に自分の心を真っ直ぐ見つめられるようになっていきます。そこも、見所の一つだと思います。周囲からの影響も受けながら、心の自立を果たしていく亜紀をみていると、やはり多くの人に、そしてその考えに触れる学校生活というものは、人の成長には不可欠なのかもしれない……そんなふうにも感じられました。

気になる男子とのやり取りには、何度もキュンとさせられますよ! これがまたジレったくて、こっちがソワソワしちゃって、まさに恋未満の、なんとも懐かしい気持ちになるのです。

高2の終わりまでが描かれたお話です。
登場人物たちの未来をつい想像したくなる、余韻のあるラストシーンでした。

お薦めします(^^)!

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