猟奇的で狂気的な復讐の物語。

ダークファンタジーとは斯くあれ。それを体現したかのような情け容赦ない世界観に脱帽せざるを得ない。特にひとりのキャラクターの魅力について語りたいと思う。
世に跋扈する悪意や理不尽に抗うわけでもなく、受け入れた上で欺瞞の正義を振り翳す主人公と呼ぶべき青年ジョン。怪物を束ねる長たる彼の所業には吐気を催す邪悪さがありながらも、語る理屈は反駁の余地なく正しい。
人を選ぶかもしれないが、私はこのようなキャラクターは大がつくほど好物です。頭の捻子が外れた、常人には理解が及ばぬぶっとんだ思考の持ち主。それだけで魅力がある。まだ彼の全貌は明らかになっていないが、これから待ち受ける物語の先で彼がどのような結末を迎えるのかが楽しみである。

また本作の特徴として、豊富な語彙からなる数多の比喩と詩的に綴られた文体。それは単に美辞麗句を連ねたものではなく、地の文の隅々までにも読み手を愉しませる工夫と努力が垣間見えます。韜晦することなく、余すことなく筆者様が創作へと捧げた熱意と研鑽の程を読者の皆様は知ることでしょう。

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