概要
山奥に祀られる深海魚を模る秘神は、その臓にいかな闇と臭いを抱えるのか
フリーライターである大瀬・路洋は、かつて見た奇祭の写真に惹かれ、東北は山奥である石斑谷村に訪れていた。江戸の時代から伝わるとと追祭は、とと様と呼ばれる神様を模して村人が行列をなすのだが、その姿は江戸時代の寒村には似つかわしくない深海魚であった。祭りの取材を進める大瀬だが、村の不思議な風習を次々に目の当たりにする。年の離れた父娘、死後に書き加えられる家系図、気の触れた村長の長男、人喰い鬼の伝承……不審を次々に増やしていくが、やがて夜が訪れ祭りが始まっていく……