第13話 ペアデ国 王宮

「さあ、そろそろ城の中に入ろう」

「はい」

 私はシフォンを抱えたまま、ウォルター王子の後について行った。

「ウォルター王子、お待ちしておりました」

 城から身分の高そうな兵士が二名、駆け寄ってきた。

「出迎え有難う」

 

 兵士たちはウォルター王子に敬礼をした。

 そして、二人のうち金髪で茶色い目をした、肉体美を誇る男性がウォルター王子に話しかけてきた。

「ウォルター王子、私は主馬頭のミック・サイケスです。馬の面倒と軍事の取り仕切りについてはおまかせください。こちらは……」


「伝令のアドルフ・テナーです。ウォルター王子。手紙など他国への連絡があれば、何なりとお申し付けください」

 小柄な男はそう言うと、お辞儀をした。

「そちらの女性は?」

 ミックがウォルター王子に尋ねた。

「ああ、私の侍女のリネだ」

「リネと申します。よろしくお願いします」

 リネは二人に向かって、丁寧にお辞儀をした。


「その犬は?」

 ミックがリネに尋ねる。

「私の犬だ。シフォンと言う。世話はリネに任せようと思っている」

「分かりました」

 ミックはシフォンを見て、リネを見た。

「そろそろ部屋に入りたいのだが」

「それでは、こちらへ」

 アドルフがウォルター王子を王の部屋に案内した。

 リネはウォルター王子のすぐ後ろを歩き、後について行った。

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