第10話 王宮へ
ペアデ国の応急に着くと、ウォルター王子は馬車を降りた。
「さあ」
ウォルター王子に差し出された手をとり、私も馬車を降りた。
あたりを見回すと、あちこちの壁に剣で傷つけられた跡が残っている。
私はため息をついた。
「リネ、行くぞ」
ウォルター王子の後について、王宮の中に入ろうとすると背後から声をかけられた。
「あなた……リネット王女?」
「……?」
私は用心しながら、声がしたほうに視線を向けた。
「……あ」
そこには、私の代わりに殺された召使、リディの母親がたっていた。
髪は乱れ、服もいつ着替えたのかわからないくらいに汚れている。
「あなたのせいで……私のリディは……」
それだけ言うと、彼女は泣き崩れた。
「ああ、でも……あなたが生きていれば……この国はまた、素晴らしい国に……」
私は何も言うことができず、ただ立ち尽くしていた。
「リネ、行くぞ」
「……はい」
私はリディの母親を置いて、城の中に進んだ。
「……それでも……私はあなたを許さない」
ひっかくように耳にのこった言葉を、私は振り切るために早足で進んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます