近づくと、機械が電気で振動する音を響かせているのが聞こえた。


 最新の自動販売機ではない。照明のつく正面に、色とりどりのダミーラベルが並んでいるのが見えた。

 どれも初めて見る缶が、ずらりと並んでいる。


 好奇心が湧いて眺める。水玉模様がちりばめられていたり、斜めのストライプだったり、ギンガムチェックだったりと妙にポップな色使いではあるが、どんな味なのか想像がつかない。

 販売中を意味する緑の光が、夜の闇に色を放っている。押しボタンの列が横に並び、上下で三段に連なる。


 ああ、そういうことか、と納得した。ランダムで何が出てくるかわからないガチャを引くような、いわゆる「謎」自動販売機らしい。










 

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