解読しようと試みる。書体が違ったり、漢字とひらがな、カタカナが混じっている。


 唯一、読めるのは漢字の「七夕」くらいだ。


 しばし頭をひねってみるが、眺めれば眺めるほど文字が、意味のない記号に見えてくる。

 そのうち目の焦点が合わなくなってきた。


 固く目をつぶり、もう一度眺める。だが暗いところで見分けようとしているせいか、まるで文字が揺れているように感じる。読み取るのは不可能とあきらめた。


 話題作りの商品なのか。辺鄙へんぴな場所の自販機で、SNSでの集客を狙っているのだろうか。


 それも面白い。そう思って、缶のプルトップを引く。

 飲み口から匂いを嗅いでみるが、味の想像がまったくつかない。なにか、果実のような甘い香りがする。

 悪くない。吸い込んだ香りのすばらしさに、目の前がくらくらする。

 背筋に表現しがたい感覚が走った。急に飲んでみたくなった。



 

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