告白ノォト
内田ユライ
1
あの自動販売機を見つけたのは、たまたまだった。
深夜残業で直通の電車を逃してしまった。なんとか間に合った最終電車は、最寄り駅のふたつ手前が終着だった。タクシーもつかまらず、しかたなく徒歩で帰ることにした。
夏本番を迎え、夜間になってだいぶ気温が下がったとはいえ、歩き続けるとさすがに汗がしたたり落ちる。背広の上着を脱ぐと、いくらかましになった。
住宅地を抜け、山ひとつを超える途中、ひとけの無い場所を通りかかった。運動不足で重い身体を運ぶうちに、ひどく息が切れる。
車一台が通れるくらいの細い道が、左右にくねりながら続いている。周囲には鬱蒼とした雑草が伸び、合間に高い木々が茂る。
途中百メートルほどの距離に街灯がなく、闇が落ちて進路が途切れているように見える。その途中に自動販売機が設置され、真っ暗な道に
少々、周囲の雰囲気を薄気味悪く感じていたので、人工物の明るさはとても心強く思えた。
だいぶ喉も渇いていた。腹も減っている。昼と夜の二食を抜いているので血糖値が下がっているらしく、さすがにふらふらする。
なにか甘い飲み物がほしいと考えて、近づいたのだった。
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