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 どうしてもあきらめきれない。


 この味覚は、ほかでは得がたい。気持ちが収まらない。手持ちのスマートフォンで、缶の印刷面と自販機を撮影していた。

 SNSに投稿しようとしてやめた。


 こんなに美味いのだ。評判になって買い占められるのは避けたい。

 他人に知らせて注目を集めようものなら、それこそ自分のぶんが無くなってしまう。


 試作品の可能性も考えた。商品の在庫が少なくて、一本買うたびに、この表示が出るように設定してあるのかもしれない。


 そうだとしたら。


 焦りで思考が焼けつきそうだった。二度と手に入らないなんて、考えたくもない。

 回収ボックスに飲み終えた缶を入れ、自動販売機に背を向ける。魅惑の光が、背後から差して進行方向に影を伸ばす。


 後ろ髪を引かれる。本当に美味かった。またこよう。絶対に。



 

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